われら六稜人【第32回】

     

    右脳と左脳のホイールバランス

      中村史郎【なかむら・しろう】六稜81期。いすゞ自動車のデザイン部長を務める彼に1999年6月末のある朝、ニューヨークの会社から一本の電話がかかった。その話の背後にはルノーのデザイン部長が動いているらしい。3ヶ月後、中村氏はカルロス・ゴーン氏率いる日産自動車デザイン本部の本部長として迎えられた。

      彼は1950年生れ。戦後日本の自動車産業の復興と幼年時代が重なる。車大好き少年はやがて北野高校を卒業後、武蔵野美術大学工業デザイン科へ進み、小学校の頃から念願の車のデザイナーとして就職した。アメリカ、ヨーロッパと海外勤務を繰返すうちに、デザインチームを率いる立場となり、いつしか日本の車のデザイナーの待遇と、車のデザインに対する会社の意思決定の仕組みに疑問を抱くようになった。それが今回のヘッドハンティングと呼ばれる異動につながる。

      車のデザイナーの世界の内側。今月のわれら六稜人は、そんな中村史郎さんを追ってみました。

      ●INDEX


      Ignition:

      車大好き少年

      1速:

      武蔵野美術大学

      2速:

      アートセンター・オブ・カレッジ

      3速:

      GMエクスチェンジプログラム

      4速:

      ヨーロッパスタジオ

      5速:

      アジアカー

      6速:

      レーンチェンジ

      バックギア:

      ホイールバランス



      収 録●Apr.12,2000
         日産自動車テクニカルセンター(NTC・神奈川県厚木市)にて
      取 材●永野明美(78期)、中村豊四郎(81期)、谷 卓司(98期)


    Update : May.23,2000