北野で勉強したというか、その前に勉強したんだろうけどね。結局はね。中学校の3年間の基礎的な英語というのは基本的にその後にひくでしょう。だから北野そのものというのは必ずしも言えないけどね。でもあの学校で得たものって大きいですね。
やっぱりね、友達とか人じゃないですか。特に僕は武蔵美に行ったでしょう。武蔵美ってのはいい意味でも悪い意味でもバラエティがあるわけですよ。人間としてね。必ずしも優れた人ばっかりじゃないというか。割とイージーにやってるやつとかも結構いるんです。もちろん頑張ってる人もいるんだけど。そういう意味では、北野のほうが学力が単にあるだけじゃなくて、ひとりひとりがしっかり自分を持ってるという感じはおもしろかったです。
僕らの世代の北野出身で、デザイナーっていうのは非常に少ないんですね。北野の生徒が車のデザイン…あるいは工業デザインでもいいんだけど…そっちのほうに進みたいと思ってる人がいたらうれしいね。
今、車のデザインに対するあこがれというものは非常に低い。なろうという人はすごく少ない。まず美術大学のデザイン学科に行く人がすごく減ってる。まず男性がね。
花形職業て言われた時期もあるけど、今はぜんぜんだめですよ。コンピューター関係のほうが全然人気あるでしょう。車のデザイナーって今は誰も花形なんて思ってないもの。そこもひとつ私の課題なんだけど、だいたいデザイナーって扱われ方が地味すぎますよね。日本は特に。
もう少し夢を与えてあげないといい人が来ないし、やっぱり最近車のデザイナーもね、専門学校を出た人とか増えてて、いわゆるスタイルだけに触れる人のほうが多いんですよ。基本的な考え方をしっかり作り上げる人が徐々に減ってますね。デザインが割と表面的な…いわゆるスタイリングに偏りがちになってる。それはそれで大事なんだけど。
でも車作るのはもうちょっとむずかしいんですよ。それにプラス、いろんな分析力とか、そういうのが備わってないとね。実際にモノにならないというところがあって。だからそういう意味で自分は良かったかなって思うのは、少なくとも中学・高校で真面目に勉強した分、左脳が鍛えられた。
右脳と左脳のバランスって車のデザインに必要だと思うんだけど、バランス悪い人多いんですよね。クリエイティブだけど右脳だけで左脳が足りない人とか、左脳が大きすぎると今度は全然美的センスがなかったりね(笑)。
そういう意味で、北野を出る人とか、どっちかというと左脳の発達してる人が、右脳の教育を受けると、いいデザイナーになるんじゃないかと思います。私のように美大に行く人は少ないと思うんですけど、もっとそういう人がいてもいいんじゃないかとも思うんです。最近は多いのかな?よくわかりませんけど。
女性の車のデザイナーは世界的にものすごい少ない。でもね、この日産はデザイナーの女性比率がものすごい高い。驚くぐらい高いです。ただ女性の場合どうしても車のインテリアとかカラーとか…そういうのが多くて、車の外側やってる女性は少ないですね。エクステリアをやるっていうのは結構、思いこみパワーみたいなのとか、人をがぁーと連れて行くような、引きずっていくような力がないとできないんですよ。カリスマ性というかね。さっきも言ったようにモデラーを使ったりしなきゃいけない。女性の場合、逆にそれだけやると、まぁ非常に難しいフリクションも出たりするでしょうね。才能があるとか無いとかいうより…そういう人間関係に因るところも大きいのかも知れません。
車のデザイナーのBAND合戦にて (六本木、1998) |
あっ、音楽の話ね。ありますあります。
入社した頃はオイルショックで会社が結構、暇だったんですよ。その頃、藤沢にいたでしょう。週2回ぐらい、古い初代のジェミニに朝ベースを積んで会社に出勤するわけ。で、会社の駐車場にそのまま置いといて、5時に終わると2時間ぐらいかけて立川まで出かけて行ってね。7時から11時ぐらいまでジャズやって。終わって夜中だと…ぶっ飛ばせば1時間ぐらいで帰れるからね。そういうのを2〜3年やってたかな。
30歳くらいからチェロをやりだしたんだけど、今もですね、藤沢の市民オーケストラでチェロのパートをやっています。以前はパートリーダーもやってました。