イギリス留学から10年以上経てみて、あの頃、学校で付き合っていたカップルはどうなったのだろうと考える時があります。風の便りでは各々の国に帰り、別々の道を歩んでいるとか。今や国際結婚は珍しくないとはいえ、文化や生活習慣の違いを乗り越え、互いの愛情を揺るぎないものに確立するまでは数々のハードルを越えなくてはならず、憧れだけでは到底全う出来ません。私の親友だったサウジアラビアの女の子は日本人の男の子と恋に落ち、「日本で一緒に暮らす」とまで考えていたようですが、日本の家族の反対にあって二人の気持ちが崩れ、結局別れました。ちなみに彼女はその後、イギリス人男性と結婚し、ロンドンで一男の母となって幸せに暮らしています。
英語にはちょっとばかり自信があった私も、フランス語は「こんにちは」と「ありがとう」等の挨拶用語、そして自分の名前を言うのがやっとの状態でした。フランス語を勉強した方はお分かりだと思いますが、「R」の発音は日本人が全く使わない喉の一部を鳴らさなくてはなりません。それも含め、きちんと発音しないで単にカタカナ風フランス語でコテコテに単語を並べてもきょとんとされてしまうだけです(または分からないふりをされるという悲しい目にも遭う……世間の風は冷たいのです)。
恋人の名前は「Roger」。苦手なRがしょっぱな。イギリスでは英語風に「ロジャー」と呼んでいましたが、彼の家族が別の発音で呼んでいることに軽いショックを受けました。
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