われら六稜人【第21回】「すばる」の中のもうひとつの宇宙
2億光年教養学部が終わると、専門課程の理学部に進学するのですが、そのとき、理学部のどの科に行くか志望を出します。その時は教養課程での成績がものを言います。ぼくは、数学か天文、あるいは応用物理、その三つくらいを考えていました。
数学は高校の時にガンさん、粟井先生にいろんな受験数学を指導されて、おもしろくて、数学者になろうと考えていたこともあったのですが、大学での数学は全く違いました。これはぼくには大変だと、数学志望は割と早くあきらめました。
それで、応用物理か天文かに絞られたのですが、人気学科の天文は、えらい平均点が高くて、ものすごくいい成績でないと入れないという話だったのです。ぼくの成績だと、ちょうどぎりぎりで、これはすべるかもしれないなと思っていました。でも、まあ1年くらい留年してもいいかなとも思ってました。この選択が、実は天文にきた正直なきっかけなんですね。後日談ですが、実際の最低点はそれほどでもなかったらしいのです。
専門課程の天文に進んだあとも、そんなに必死になって勉強しませんでした。就職も考えて、物理上級の公務員試験を受けたりしました。合格しましたので、東京の小平にある当時の郵政省電波研究所、今の通信総合研究所を見学したりしました。偶然ですが、現在この研究所とは仕事上のおつきあいが深く、ぼくの指導した大学院生が就職したりもしています。
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Update : Jun.23,1999