アフリカの大地を緑に〜ジャカランタの花咲くジンバブエから【第7話】
壮大な経済の実験
ジンバブエ南部にて
(どこでも水の確保は大変)
日本の物価上昇というのは、戦後の混乱期を除けば、年数パーセントでしょ。けれど、ジンバブエのインフレは年率1000%以上です。100%は2倍、200%は3倍。ですから、1000%というのは11倍なんです。
一方、銀行の貸し出し金利は年300%です。インフレには借金が有利ということを聞いたことがありますが、こんな国にも当てはまるんでしょうか。
しかし、給料は3倍ぐらいしか上がりません。え!じゃあ、庶民はどうするの。オマケに失業率は70%です。定職がない70%の方々の暮らしはどうなってるの。Nobody knows !?
(北野で使った ワインズバーグ オハイオ に出てましたね)
2006年の11月に、首都ハラレ市の水道局が、水道料金を16倍に値上げすると発表しました。ちょっと前の報道では10倍の値上げということでしたが、値上げの幅を拡大したとのことでした。新聞には、「Sky Rocket High」という笑い話みたいな言葉が出ていました。 しかし、水道局には消毒用の塩素を買うUS$がなく、市を南北に分けて隔日給水なんです(2日に1度しか水道が来ない。うちは井戸水でしのいでいます。)ジンバブエ・ドルは、海外ではタダの紙切れですから、値上げしても、US$を稼ぐという訳にはいきませんので、断水は当分解消しないでしょう。
だれも文句言わないのかなあ。と、思うでしょ。でも、なんとかなってるんです。
エジプト西部の砂漠にて
(子供の水汲みは、お手伝いか児童虐待か)
2006年の9月から10月にかけて、パンとガソリンの値段が3倍になりました。で、政府は、直ちに旧の価格に戻すよう命令しました。しかし、次の日から、パンとガソリンが街から消えました。
パン工場も、ガソリンスダンドも、小麦やガソリンの輸入原価を割るような価格では、赤字になるという訳です。これは、どうなるかと思えば、パンは1斤(loaf)という単位に基準がないことをいいことに、前の半分ぐらいの大きさにして、政府の指示どおりの価格で売るということで妥協。ガソリンは、極少量だけ、政府の統制価格で売り、あとは、6倍の価格のヤミ市場へ回るということになりました。(援助関係者にはヤミ値とほぼ同じ価格の特別のクーポン券があり、値段はともかく、ガソリンは手に入ります。)
2006年8月には、1/1000のデノミが実施されました。しかし、旧紙幣から新紙幣への交換の制限(US$100程度)があり、これを上回る銀行預金(年利100%程度)は当分の間、口座封鎖。
えー、ホンマかいな。けど、何の騒ぎもなし。預金にするとインフレで目減りするのは明らかですから、私はトイレットペーパー1年分とか缶詰とかの保存食料を買い込んで、何とか、旧紙幣を使い切りました。
ネパール南部にて
(物の値段はどのようにして決まるんでしたっけ)
ヤミ屋さんって、知ってますか。ここハラレでは、外国人はUS$の現金をジンバブエ・ドルに替えるのに、その手の両替屋を使います。銀行で変えるのと、10倍も違うのです。その方法は、・・・・それは堪忍して下さい。
ヤミのレートは、インフレを反映していますから、チビチビ替える場合には、目減りは最小限ですみます。
トラベラーズチェックとか、外国らの銀行送金は、銀行でしか替えられませんから、だれも使いません。ですから、何万ドルものUS$の現金を、おなかに巻いて、持ち込むことになります。ちょっとしたスリルです。
で、換金したUS$はどこへ行くんでしょうね。これも Nobody knows !?
Last Update: Mar.23,2007