▲ジュラ州モンセヴェリエ村祭り(6月23日) (ジュラ州旗があちらこちらに翻り、人口僅か500人の村が活気を増す) |
世間ではもう秋の気配漂うというのに、執筆上は春から夏にかけての行事について述べることになり、季節違いもいいところである。筆者の遅筆をどうぞご勘弁下さいませ。 復活祭休暇(スイスの州によって違うが、2週間から3週間の学校休暇)が終わってしまうと子供達は嫌々ながら通学を始める。しかし、カトリック州、とりわけジュラ州の児童や先生方が文句を言うのは贅沢というものである。というのは、これから夏休みまで、どちらかと言えば楽をさせてもらえるからだ。1〜2週間に1回という割合で祝日や連休が待っている。 2009年度のカレンダーから拾ってみよう。5月1日はメーデー。しかし、我が夫が働くベルン州某M市は、この日も仕事である。そうでなければ学生のように三連休となっていた。その20日後、5月21日木曜日からは昇天祭の四連休が始まる。これも、前回の記事「復活祭編」で述べた通り、移動祝日である復活祭によって決まる。正確には、復活祭から数えて6回目の日曜日の後の木曜日に昇天祭がある。金曜日は公的には祝日ではないが、学校や企業はこの金曜も休みにするところが多い。復活祭でキリストの復活を祝い、40日後、昇天を祝う。聖書中の、キリストの弟子達による福音書に忠実に祝日が決められているあたり、「スイスの国教はキリスト教」と称する所以である。 昇天祭の10日後、キリストの弟子達に聖霊が降りてきて宿ったという聖霊降臨祭(ペンテコステ)がある。この日は日曜だが、翌月曜日は休日であるため、三連休となる。ポラントリュイでは、この日曜日に小学4年生のカトリック児童が初めて聖体拝領をする儀式がある。カトリック教会では聖餐を「聖体の秘跡」といい、パンとワインがキリストの体と血に変化し、それを信徒が分け合うことがミサの中心的儀式である。ただ、実際我々が口にする聖体は、パンではなく、円くて薄ベったい煎餅のようなものである。ほんのり甘く、さっぱりと美味しい。
夏休み前の祝日はこれで終わりか・・・と思いきや、カトリック教会では、復活祭の60日後、つまり今年では6月11日に聖体の祝日(フランス語ではFête-Dieu)がある。ポラントリュイでは、この日の朝10時に野外ミサ(晴天の場合)があり、先日、初聖体拝領を終えた児童が全員参加する。ミサ後は、聖体を掲げた司祭を先頭に、参列者全員が町を練り歩き、旧市街の中ほどにある「良きサマリア人の泉」前にて再び儀式がある。 バーゼル司教の支配以来、カトリックが根付き、特別信心深くあってもなくても、生活の一部になっているカトリック暦。夏休み前の祝日はこれで終わり・・・と思いきや、ジュラ州にはまだある。ジュラ全民が誇る、独立記念日6月23日である。
独立を記念し、6月23日はジュラ州のみが祝日。ドレモン近郊のモンセヴェリエ村では、毎年この日に村祭りが開かれ、政治家が演説する。 過去、反ベルン支配を掲げた過激な闘争もあり、現在もくすぶり続けるジュラ独立の経緯については、いつかあらためて書いてみたいと思う。 7月に入れば、6週間の夏期休暇。筆者は家族と共に嬉々として日本に帰り、蒸し暑さもなんのその、日本滞在を満喫する。8月に入ると早速祝日が登場するが、下半期の祝日は上半期ほど多くはない。以降は、次回の話題としたい。 |