北へ2007~白夜とフィヨルドの国から【第2歩】
みなさん、こんにちは。2007年の第一回目は、私が住む町 Trondheim について書かせていただきたいと思います。
▲ニダロスドーメン(ニダロス大聖堂) |
▲ニードゥエルヴェン川辺 ポップな色合いの家並みがかわいい |
▲私が通う NTNUグロスハーゲンキャンパス キャンパスも緑いっぱい |
トロンハイムはノルウェー中部に位置する第三の街で人口は20万人、人口の六分の一が学生の学術都市だ。歴史的には、カトリック時代に重要な教会であった (ちなみに現在のノルウェー王国の国教はプロテスタント系キリスト教)ニダロスドーメンを擁する。
当時のトロンハイムはヨーロッパ中からこの教会に巡礼にやってくる重要な都市であったようだ。そのニダロスドーメンを街の要に、街中をフィヨルドへと続くニードゥエルヴェン川が横断し、美しい水辺空間を生み出している。
川辺にある木造の建物群は以前船着き場として利用されていたもので、現在は修復され、住居や事務所、レストランとして利用されている。日本では天皇皇后陛下が2005年の5月に訪問されたこともあり知名度があがったのではないだろうか。
さて、もう一つのトロンハイムの要は私が通う NTNU(ノルウェー科学技術大)である。
ノルウェーにある4つの国立大の一つで(公立の college にあたる学校は各地にあるが、国立の university は4つだけ)、理系に秀でた大学だ。日本との提携校(交換留学システム。共同研究はまた別)は京大、大阪府立大、東工大、東大、鳥取大、早稲田大…と、北野生の進学に奨励されているような大学であるのも興味深い(北野時代、上記大学に入る能力がなかった私としてはなんとも複雑な思いですが)。
こうして理系のトップ校を首都におかず、第三の街に持ち続けているのは、ノルウェー政府の地方分権推進の結果ともいえる。優れた大学があるということは、そこに研究所があり、産学提携のための企業があるということで、地方分権に一役買っているのだ。
私自身27歳で学生だというと、日本ではなんとも肩身が狭いが、ここトロンハイムではそうでもない。というのも、こちらでは教育を受けるのは大学も含めてただであり、博士課程に至っては研究者として日本円にして年間750万円ほどのお給料がでるので、世界中からこぞって学生がやってくるからである。結果としては、私自身は修士課程在籍中だが友人はやたらと博士課程在籍中とか、それ以上の学歴を持っている人たちが多いという状況になり、また極めて国際的なメンバーで構成されている。これがノルウェーの縮図だとは全く思わないが、私が今置かれている環境はこんな感じだ。
▲学友は国際色豊か スコットランド人、イタリア人の友人とともに (昨年のとあるパーティの席で) |
▲新しく開発されたニドレエルベ港周辺エリア |
奨学金システムについては6月執筆予定の第七歩にて詳しく述べたいと思うが、ノルウェー人で大学に通う学生はほぼ100%国から奨学金を得ており、そのため親から経済的に独立している。結果として、のびのびと学びたいものを心ゆくまで学んでいるように見える。また家庭の経済事情により進学をあきらめる必要もないので、みなに平等な機会が与えられているといってよいだろう。
また人口20万人から想像できるように、街は非常にコンパクトで、街と自然が近い。自然と親しく暮らす事はノルウェー人の国民性とも言えるが、街からバスで15分ほどの私の家からそのままクロスカントリースキーをつけて、山スキーに行くことができる。
街がコンパクトだと、単純に通勤・通学の時間が短縮されるし、仕事や学校の後一度家に帰ってから、また別の用事ででかけたりもしやすく、わたし自身は気にいっている。
なんとも歴史的な感じのするトロンハイムにももちろん新しいスポットもある。
ここ10年くらいに開発されたニドレエルベ港(nedreelvehavn)周辺エリアがそれだ。昔船のドックだったエリアがレストランやショッピングセンターとしてよみがえった。修復された建物も多く、建築的にも興味深い。