生まれたのは両親が新所帯を持った十三。今思うと「北野」との縁の始まりだったのかも。
生まれてすぐの昭和10年、服部に転居。その頃の地名は豊能郡中豊島村字服部、当時の服部駅は、うっかりすると乗降客がいないのかと電車が止まらずに行ってしまったそうです。十三と豊中に挟まれた、はみ子みたいな町でした。家はちっちゃな洋間や庭のついた二階建ての借家で、同じような型の家が10数軒、道路をはさんで2列ずつ並んでいました。青や赤の屋根は、当時はハイカラだったんでしょう。
うちは普通のサラリーマンでしたが、この隣組には、宝塚歌劇団のオーケストラの指揮者筒井さん、大庭さち子さんという当時の流行作家、その夫君で論説も書いていらした毎日新聞の片桐さん、舞台装置も手がけていらした洋画家の藤原さんとか、今考えると昭和初期の文化の匂いがしますよね。