一時からすると随分静かになったほうだけど…まだ外に中継車が何台か停まっているでしょ。あれ…患者さんが退院するまでいるんだって。
患者さんがOKならね…もちろん、名前を出したり写真を写したりしてもいいと思うよ。現に、海外で移植をしてきた人なんかしょっちゅう名前が報じられているからね。でも、今回は…退院するまではNGよ、と。
今回の報道合戦で唯一、歓迎すべきだったのは「意思表示カード」に対する関心が凄く増えたこと…かな。これの普及がなかなか難問だったんだ。僕も東京の数寄屋橋で道往く人にカードを配ったことがあるんだけど…後で調べてみたら98%がゴミ箱行きだった。悲しかったけど…逆の立場だったら、よっぽど関心がない限り…同じコトしてたと思うんだよね。
関西コンビニの大手、ローソンの社長が「何かお役に立ちたい」ということで、店頭で配付するようにしてくれたんだけど…ほとんど持って行く人は皆無だったし。ところが今回の手術が終わってからは、店頭からカードが無くなって品不足…なんてことになっている。
日本人のうちドナーになれる人…というか臓器提供の意思表示の出来る人は8,700万人いるんです。15歳以下が駄目だからね。民法で「遺言状が発効するのが16歳以上」となっていて、15歳以下は自分の意思表示が出来ないということになっている。これに倣っているワケ。こんなこと世界でも日本だけなんだけどね…今のところ仕方がない。これが15歳以下でも親権者の意思で提供できるようになれば、わざわざ海外にまで行って移植手術を受けることも無くなるんだけど。今その方向に動き始めているから、移植法の見直し後には出来るようになるんじゃないかな。
それで、その8,700万人のうち毎年20万人の人が亡くなるんだけど…脳死で亡くなる人の割合が1%程度。さらに、本人が意思表示カードで臓器提供の意思表示をしていて、なおかつ家族が合意する…となると、昨年末の調査では確率0.04%という、きわめてゼロに近い値で…この計算だと5年に一人、提供者が出るかどうか…という感じになるね。今回の件で、たくさんの人がカードを持つようになれば、もうちょっとペースが早まることは確かだと思うよ。
「自分の臓器は提供してもいいが、家族の臓器はね…」という人は結構多いです。これは何も日本に限ったハナシではなくて、世界中どこへ行っても同じことで、実際に「提供」にまで至るのは脳死者の15%程度と言われています。