破壊された橋 |
医療関係では、有名なフランス政府肝いりの「国境なき医師団」が圧倒的物量で支配者然と振る舞い、MeRUのような弱小NGOは、下手をすると活動拠点を奪われてしまうとのことで、先任の二人のお嬢さんは必死の思いでけなげに頑張っていました。しかも二人共全くのボランテイアで、たまたまMeRUの誘いがあってこちらに来たとのこと。そのけなげさと真剣さには感心させられました。MeRUはこの二人の努力が実り、ペア市から30分くらい車で行った所にある、バラニという地域の破壊された昔からの診療所の一部を補修して診療を再開し、地元の医師一人と看護婦3人の協力を得て、診療活動を支援し徐々に患者さんの受診が増えてきているということでした。また、後にWHOの認定を受けられるように活動報告をWHOに提出し、ペア市の医師会のボスに評価してもらえるよう宣伝活動を行っていました。地元の医師、看護婦の活動は全くのボランテイアで無報酬で頑張っておられました。
わたしは短期の滞在ですし、現地の医師、看護婦等は余っているという状況なので、医師としての診療を行う必要性はありませんので、現地の実状、病院の実態を知ること、また、WHOなどの国際団体が政治、経済、医療などの実際的支援をどのような戦略でやっているのか、今後の計画は?などについて勉強することにしました。従って、街を歩き、病院、診療所をたずねていろいろな人の話しを聞き、国連、WHOなどの通達文を読むという毎日でした。
結構いろいろなことを学ぶことができました。不幸に見舞われながら礼儀正しいコソボの人達と接し、9年間も差別的抑圧を受けてきた人達が、抑圧から解放され、街は破壊されているが、生き生きと目を輝かせている姿、特に子供たちの輝く瞳と笑顔、物乞いなど一切無しの暮らしぶり、美しい娘さん達の颯爽とした姿などを目の当たりにして、また、英語を話す人達から聞いた開放感に裏打ちされた今後への希望などの話しを聞いて、平和ボケと言われる日本の現状と対比して、本当にいろいろ考えさせられたコソボ滞在でした。