われら六稜人【第29回】レンズに魅せられた男
     
    8等星
    まずは地学部OB会から



      十三のような明るいところに望遠鏡を作っても星は見えないんじゃないかと思われる方がおられますが、望遠鏡で見る限りそんなに関係ありません。肉眼で星が見えないのは「空が明るい」ためであって、惑星とか比較的明るい星団であれば、山の中であろうが都会であろうが同じように見えるんです。
      また、人工光の部分をカットする「光害防止フィルター」を用いることで、天の川のほかたくさんの星が見えますし実際にそれをトライした生徒がいることを、地学部の吉田先生がおっしゃっていました。また、ビデオモニターなんかを用いて映像にして写し出すことも可能です。昼間には太陽の黒点をリアルタイムに映してもいいし、そういうことも可能なんです。

      吉田先生がおっしゃるには「地学の教科書で教えるのではなくて、何よりも生の授業をしたい。本物を見せたい…それが真の教育ではなかろうか」と。実際に北野から天文学の道に進まれた…家さんや船越さんといった先生がおられますが、お二人とも「北野の屋上の望遠鏡がルーツだった」とおっしゃっています(笑)。
      国立天文台の家先生は、既に昨年この『われら六稜人』に登場されていますし、京大飛騨天文台で永年ご活躍された船越先生も(残念ながら昨年、食道癌で他界されてしまいましたが)生前より「北野天文台」についての熱意を語られていました。
      船越先生の遺志を継ぐという意味でも、将来「この道に進んでみよう」と思う生徒が出てくるためにも、せめて望遠鏡のひとつを母校に恩返ししたい…というのが私の切実な願いでもあります。

       
      今では架台のみが屋上に残されている。
      この校舎も来年には姿を消すことになる。

      吉田先生のお話では「入学祝いに親から貰った100万円をそっくり望遠鏡の建設のために寄付してもいい」という生徒が、今年の地学部にはいるそうです。とても健気な現役生だと思いますが、これくらいのことをわれわれ先輩が面倒見てやれなくては六稜の名に悖るとも思います。

      もちろん、私が連絡を取れる人とは連絡をとりあって、まず、学校の地学科と地学部OBを中心とする建設委員会を立ち上げたいと思っています。どうか、地学部に限らず…ご賛同いただける方の御協力を広くお願いしたいと思います。

      連絡先●
      石川 勇 IK技研株式会社


    Update : Feb.23,2000