北野にも昭和22〜23年頃に30センチ級の天体望遠鏡が屋上にありました。設置された当初は、高校としても全国でトップクラスの望遠鏡だったと思います。ただ、それも相当痛んでいましたので、私の本音としては「IK-1」は柴島中学の屋上よりも北野の屋上に置いて欲しかったのですがね(笑)。
残念ながら、それは実現なりませんでしたが…ここへ来て70年ぶりの校舎改築に伴い、新校舎には将来的に天文台ドームを屋上に設置できるような構造設計がなされています。昨秋、地学科の吉田先生や同窓会の常任理事さんともども建築設計事務所に招聘され、アドバイザーとして設計協議に参加しました。これがその試作図面だそうです。
私の個人的な感想としては、この際ぜひ北野天文台を実現させたい…そして是非「日本一」の望遠鏡を母校に贈りたいと思うのです。当代30センチ級の望遠鏡ならあちこちの高校が持っています。ですから、北野には是非とも50センチ級のものを設置したい。
実は、昨秋このお話をお聞きして以来、他から受注の望遠鏡製作などの仕事の合間に、少しずつ…北野の望遠鏡の構想や設計、材料、部品製作などを始めています。あと2年ほど積み重ねれば、ゆくゆくは望遠鏡は出来上がると思います。
しかし私は製作に対する決心こそありますが、これを一人の手で作って偽善家のごとく寄付して押し付ける(?)のが、はたして本当に善いことなのか疑問に感じているのも事実です。
仮に、望遠鏡を教育の一環、一つの文化や芸術の類だとすれば、今までのような「箱モノ行政」式に、とにかくお上が作って住民にあてがう、後から住民が魂を入れる…というやり方には一種の懸念を感じざるを得ません。
むしろ、これからの行政としては、府民の創意や工夫、情熱や熱意を積極的に採り入れてこそ実効があると思うんですね。
だから私たちが「北野の卒業生」として、お世話になった母校に対し、ささやかな恩返しをする…というか、あるいは府民として「特徴ある学校づくり」に幾許かの協力をする…後輩たちの教育の場に少しでも豊かさや潤いを与えることで、それが「特徴ある学校づくり」に資していただけるのであれば本望だなぁと思うわけです。
そのためにも、私独りが個人プレーとして作るのではなくて、多くの人たちと皆で心をあわせて、私たちのひとつの行動の結晶として一緒に作りあげたいと思うのです。
大阪府にも是非そのことを考えて欲しいと思います。現役の生徒やPTAの方々、同窓会の皆さん、さらには地域の文化施設として可能な限り、近隣の青少年に対して開放し「みんなで星を見よう」と、そういう動きの中で北野の天文台が立ち上がって行くのが理想だと考えています