フリューゲルスがつぶれましたよね。あれ以来、選手の中にも「明日はわが身?」というような不安感が出てきましたでしょうね。ですから、今年は開幕前の2月に選手のほうから申し出があって、各選手が千里中央だとか茨木の駅だとかに「ガンバの試合、見にきて下さい」とビラ配りに行ってました。こないだも7月の何日かに2回目のビラ配りに行って、同時に松下の各工場へも回って頭を下げたようです。監督もまた「ぜひ、お願いします」と言って松下の各事業所をまわってくれたようですけども。
選手はそういう風に受け止めているようです。稲本選手が「今後のサッカーの発展はどういったところにある?」という新聞記者からの質問に対して「日本経済が良くなること!」と的を得た答えを返してましたね(笑)。だから、事業の目的をきっちり追求していって、選手に不安感を与えない、お客様にも余計な不安感を与えないようにしていかないと…というふうに思いますね。
でも、まだまだ危機感は希薄です。ここ2〜3年で各クラブの選手の年俸も随分下がってんですよ。だいたい、三割から五割くらい下がっています。だから、選手は年俸を通じて危機感は持ってますね。ただ、それが表面に出ているかっていうと、それはチョットまだそこまでは来ていないと思います。今日の試合相手のベルマーレ平塚なんかは危機感持ってますよね。
今年からは15位、16位の下位2チームはJ2の上位2チームと入れ替えになるんです。J2に落ちるということは、球団の経営がものすごく後退するということになります。だから、平塚なんかは新聞でも報道されていますように、経営的にも大変だしチームの順位も大変だということで、ものすごく危機感を持ってやっていると思います。うちの選手はまだ…今日も危機感たらんね(笑)。
ただ…危機感いうのは短期的にはものすごく刺激剤とか興奮剤になるんですけども、それが長期的に続きますと、やはり今度は絶望のほうへ気持ちが行くことがありますからね。
今、関西4球団では「ジュビロなんかに負けへんで!」をスローガンにしています。そりゃ「勝ちまっせ」と言えたら、そっちのほうがいいんですけどね。全国に16クラブありますけれども、観客動員数はやはり関西が悪いです。関西は野球の地盤が強いんですね。それで、Jリーグ協会も正直申しまして危機感を持っていて「ジュビロなんかに負けへんで」となったわけです。これも実に情けない話なんですがね(笑)。
やはり、清水とか磐田とか福岡や大分のような、小さい時からサッカーできる環境では良い選手が育つんですよね。だから、そういった底辺が厚いところからでないと良い選手は出ません。ガンバもやっぱり地元志向ですから、ガンバユースからも良い選手が育って来ているんですが。まだ、その底辺は薄いですね。また、これは関西の県民性ですかねぇ、すぐ「わしゃ、弱くなったらもう応援せんっ」っちゅーのは。ゲンキンですよね。
阪神タイガースの商圏人口っていうのは、阪神圏と大阪市から北のだいたい1,000万人なんですね。それで、阪神が甲子園に呼び寄せている観客数っていうのが去年で約200万人です。今年はもう少し増えて、250万から270万人は行くでしょうね。そしてガンバの商圏人口はどうかと言いますと、大阪北部から北摂地域とか北河内で大体なりたってますが、約400万人です。で、これが年間15万人しかここへお客さんで足を運んでもらっていないんです。ここで、ものすごい経営的な大きな差があるんです。モノレールができて、ここへ来るには少し便利になったし、道路も随分整備されたおかげで段々車で来られる方も増えてきていますが。
ガンバのお客さんの特徴っていうのは93年、94年にいわゆるサッカーファンになった方が、そのまま持ち上がり現象で足を運んでられる方が多いんです。本当は、スタートして7年経ってるわけですから、次の小学生・中学生と若い人にきてもらいたいんですが、やはり野球に負けているみたいなんですよね。Jリーグが乗っていたころ、野球も凄い危機感を持っていたようです。でも、それを救ったのがイチローだと思うんです。そして、松坂だとか長島監督だとかさらにその他の監督もおられますが、話題作りがありますよね。だから、サッカーも話題作りをして行って、その片方でお客さんに楽しみながら試合を見ていただくというようにして行きたいですね。