東洋食品短期大学の笹部桜 (兵庫県川西市) |
小林一郎
(78期)
皇居内吹上御所内庭 5本
昭和天皇在位60年記念に久野氏が寄贈したもの。宮内庁では皇室への献上品の多くを大抵はお断りするそうですが、植物に関心のある昭和天皇は何かで笹部氏を知っておられたらしく「笹部の作った桜なら貰って置こう」となりました。
大田区 旧薄井氏宅 3本
笹部氏から親交のあった文芸春秋編集者の薄井恭一氏に分けられたもの。樹高は屋根を越え、幹周りも一抱えするほどになり近所でも評判の3本でした。しかし数年前に転居されて地所と共に桜も不動産業者の手に委ねることとなり、おそらくマンション建設のため伐採されたのではないかと思われます。薄井氏自身も確かめるのが辛くて転居後は一度も足を向けてないとのことです。
西宮 辰馬家 1本(?)
西宮の産業と文化に大きな役割を果たした辰馬家(白鹿の辰馬酒造)は甲陽学院の設立や一族から西宮市長を選出されたことでも知られていますが、当然笹部氏との交流もあり笹部桜を贈られたということですが、個人宅の事とてその現状は未確認のままです。
信州 野口氏宅 3本
野口藤三郎氏(六稜53期)は久野氏とは北野時代から海軍時代を共に過ごした友人同士で信州木曾に家を建てた時に3本の笹部桜を贈られました。久野氏からは肥料、防虫など、しばしばアフターフォローについての電話があったそうです。
池田市 五月山公園 30数本
久野氏が寄贈したもの。五月山公園は桜の名所としても知られていますが、数千本という数の中にあって充分に管理が行き届いていないのを久野氏は嘆かれていたと聞きました。
小林聖心女子学園 30数本
久野氏が寄贈したもの。ご息女が通学されていた縁で学園内通用路斜面に植えられたものですが、やはり久野氏の思うような充分な管理がされずにいたとのことです。
神戸市内小学校 100本以上(?)
岡本南公園の笹部桜の親木から増やされたもの。神戸市内の希望する小学校に分けられましたが筆者の調査不足で詳細はよく判っていません。
岡本桜守公園桜守会会員宅 (数10本)
桜守会会員の手で私的に増やされ分けられたもの。これも筆者の調査不足で詳細不明。
川西市 東洋食品短期大学 2本
先の神戸市内小学校に分けられた苗木の残ったものを、高碕達之助氏が設立した川西市の短大の講師であった小松美博氏(六稜64期)が、学内にある荘川桜と所縁の笹部桜も植えておきたいと尽力されたもの。
全国桜サミット開催地
先に取り上げたように、久野氏の後継者と言える島根県木次町は「町の花」として笹部桜を毎年の桜サミット開催地に記念植樹されています。笹部氏、久野氏亡き後の笹部桜普及は木次町に託されています。
広島造幣局「桜のまわりみち」
大阪造幣局の「通り抜け」と同じ様に広島造幣局にも「桜のまわりみち」というものがあり、笹部桜も植えられているそうです。
新宿御苑、神宮外苑(十数本づつ)
薄井氏の紹介で東京の公園にも寄贈されましたが。どの場所にどの様にあるかは未確認です。
北野高校の笹部桜
最後になりましたが、母校プール横に新同窓会館が2〜3年後の完成を目指していますが、現在正門脇にある笹部桜の成木を会館脇に移植します。ほかに30本ばかりの苗を校内各所に配置予定ですが、現時点(2001年3月)では具体的プランの検討段階です。