笹部桜考(28)
    春季展〜笹部さくらコレクション「桜のあるくらし」 2000年3/11(土)〜5/14(日)


    笹部コレクション(9)《春季展特集2》
    花壇綱目【かだんこうもく】
    享保元年版(1716)、上中下

    水野元勝【みずの・もとかつ】作
    天保3年〜明治24年(1832〜1891)

    杉元仁美
    酒ミュージアム(白鹿記念酒造博物館)学芸員


      <櫻文献控>より
      「昭和14年11月12日、大阪高島屋東西連合古書即売会、杉本梁江堂出品。兼ねて家蔵してゐるが享保元年版として初摺本を買入、昭和14年より逆算224年前となる」

      「花壇綱目」は、延宝9年(1681)初版本を出し、他に元禄4年版(1691)、享保元年版(1716)がある。園芸専門書としては日本では最初に出版された本である。上中巻には、春・夏・秋・冬の部と季節毎に分けて記載され、下巻には品種の多い植物の品種名、花の形、色彩、特徴等が記載されている。桜は下巻の品種の多い植物として記載されており、40種の桜の品種を挙げている。



    花信風【かしんふう】
    寛政5・6・7年版(1793〜1795)

    十千亭【じゅうせんてい】作


      <櫻文献控>より
      「昭和28年11月9日、東京都目黒区上目黒4丁目2の251、辰巳屋書店より郵送」

      「花信風」は寛政4年から7年の毎年歳末に刊行されており、4年間続いた。笹部コレクション文献収蔵には寛政4年版は欠本になっている。翌年の春の開花予想をしているもので、上段には桜の品種名、中段にはその特徴など、下段には場所を記載している。
      江戸時代は現在のカレンダーとは異なり、暦は月の満ち欠けを基準としたもので、暦と季節もずれを補正するため、大の月(30日)、小の月(29日)とを組み合わせ、さらに19年に7回の閏月を設けた。暦の上では一年の日数が一定ではなかった。これは明治6年に今の太陽暦に改められるまで続いた。


    協力:西宮市笹部桜コレクション(白鹿記念酒造博物館寄託)
    Last Update : Feb.23,2000