水野元勝【みずの・もとかつ】作
天保3年〜明治24年(1832〜1891)
杉元仁美
酒ミュージアム(白鹿記念酒造博物館)学芸員
「花壇綱目」は、延宝9年(1681)初版本を出し、他に元禄4年版(1691)、享保元年版(1716)がある。園芸専門書としては日本では最初に出版された本である。上中巻には、春・夏・秋・冬の部と季節毎に分けて記載され、下巻には品種の多い植物の品種名、花の形、色彩、特徴等が記載されている。桜は下巻の品種の多い植物として記載されており、40種の桜の品種を挙げている。
十千亭【じゅうせんてい】作
「花信風」は寛政4年から7年の毎年歳末に刊行されており、4年間続いた。笹部コレクション文献収蔵には寛政4年版は欠本になっている。翌年の春の開花予想をしているもので、上段には桜の品種名、中段にはその特徴など、下段には場所を記載している。
江戸時代は現在のカレンダーとは異なり、暦は月の満ち欠けを基準としたもので、暦と季節もずれを補正するため、大の月(30日)、小の月(29日)とを組み合わせ、さらに19年に7回の閏月を設けた。暦の上では一年の日数が一定ではなかった。これは明治6年に今の太陽暦に改められるまで続いた。