笹部桜考(48)
    笹部コレクション(16)

    青銅桜花透釣燈籠
    【せいどうおうかすかしつりとうろう】

    寸法:31.0×13.5×15.3cm

    杉元仁美
    酒ミュージアム(白鹿記念酒造博物館)学芸員



      <櫻に因む蒐集品控>より
      昭和13年11月3日京都市東山通新門前通仲ノ町、谷口秀雄骨董店にて買入。時代の味もよく、角型は珍品で従来一度も見たこともなく、保存極上で全く無傷である。

      「燈籠」には<釣燈籠>と<台燈籠>とあり、仏殿の荘厳具として中国から日本へ伝わります。「燈籠」【とうろう】という言葉も中国語で<燈楼><燈炉>とも書きます。

      奈良時代には寺院で使われていましたが、奈良時代末〜平安時代にかけては宮中や貴族の邸宅の軒、鎌倉や室町時代には戦勝の祈願に神社に奉納するといったように使われていました。

      桃山時代になると庭園や茶道の発達とともに<庭燈籠>が工夫され景物となり、江戸時代には庶民の庭先に用いられるようになった。「釣燈籠」は軒先等に釣るす照明具として用いられていました。木製・鉄製・青銅鋳製等があり、寺院・神社には六角又は円筒の金属製が多く、邸宅・宮中用のは木製が多かったが、近世以降金属製の「釣燈籠」も用いられるようになります。「台燈籠」は戸外用での照明具として用いられていました。銅・青銅・鉄などの金属製や石製・木製等が使われます。共に明かりは油皿に油を入れて点す。


      協力:西宮市笹部桜コレクション(白鹿記念酒造博物館寄託)
      Last Update : Sep.23,2000