《三熊派シリーズ2》
糸桜図
【いとざくらず】
一幅 絹本着色
寸法:縦110.0×横30.1cm
杉元仁美
酒ミュージアム(白鹿記念酒造博物館)学芸員
三熊露香【みくまろこう】 生没年不詳
露香の「桜画」は、兄思孝の画風を着実に引き継がれ、墨又は藍の一色のみで描いたものが多くみられ、<墨桜>とも言うべき文人好みの軽妙な筆のタッチで露香独自の「桜画」を描いています。 露香のはっきりとした生没年はいまだ不明ですが、兄の思孝と博学多芸で名の知られた大阪の文人―木村兼葭堂(酒造家でもある)とも深く親交を重ねていたらしく、兼葭堂の日記の中に思孝の名前が度々登場することから、露香もまた兄を介して兼葭堂と知りあい、兄亡き後もつきあいが続いていました。しかし、享和元年(1801)5月の記録を最後に露香の名は、兼葭堂の日記から消えているらしく、大田南畝の聞き書きには、露香は寛政末(1800)には没したとあるから、先の事実と合わせて、露香は享和元年頃にこの世を去ったものと考えられています。 |