中井正明
(64期・なにわことばのつどい代表世話人)
子供の頃、朝ッ腹から大声でこんな囃子(はやし)詞を歌て、
いつも母親に怒られた験の話を思い出してマ。
商売人の家では、朝から「猿」や「犬」の忌み詞を口にするのは、
験が悪いテ不服の様でオマシタ。
去る・去ぬ・擂る等は商売柄、禁句だして
擂り鉢を当り鉢、鯣は当りめと申す業者は今でもオマス。
名詞まっかいけは真っ赤い気と書く大坂辯で、
真っ黒け、真っ白けと同じ類だして、真っ青けはゴザセン。
囃子の「ケンケツまっかいけ」は献血の赤と違て
御尻(オイド)真赤の事。大阪辯のケンケツは臀部の蔑称。
また「眞」の付く熟語は、
真直ぐ、真後、真逆、真昼間、真裸、真真中…
真面目に探せば限が無い(笑)。
話は些と別ヤが、
大阪辯は汚いと聞き及ぶ中に「ド」の付く詞がウジャウジャあるテ。
真眞中をド真中と言うはその最たる語句ヤロネ。
耳障りな方言は出来得る限り避けたいモンだすなぁ大将。
ドエライドタマ、ドギツイドシャベリ、ドガイショナシ、ドアホ…
斯様な喧嘩詞を使てたら、花の大阪辯と雖もマ、土壇場だっせ!