【連載】なにわことば三昧(30)

    たんと

    中井正明
    (64期・なにわことばのつどい代表世話人)


      聖戦や大東亜戦争と称して世界列強に挑んだ「大日本」の
      今世紀最後の大戦は見事に敗北(親父らの世代だっけどネ)。
      45年夏、進駐軍の占領後は
      太平洋戦争(Pacific War)と公表された頃。
      戦災廃墟の焼け跡で、殆ど空腹の国民が
      飯の代わりに流行歌(はやりうた)を唄うた
      悲しい時代がございましたなぁ。

      その中に、岡晴男『大坂の花売り娘』;
      「お花買(コ)うてんかぁ。たんとおまっせ、たんとおまっせ…」云々。
      此の「たんと」は大阪辯で沢山・仰山(ぎょうさん)の意味。
      これ辞典に依ると梵語、いや、葡萄牙(ポルトガル)語の
      「多い」の意=TANTOから来た…等々、何せヤヤコシイ言葉らしい。
      伊太利(イタリヤ)語も一緒やテェ。

      大阪辯は外来語を滅茶苦茶に矢鱈と取り込み、
      是以外にも数え出すとキリ(際限)が無い。

      アイスクリン
      アリヘト
      オテンバ
      カボチャ
      カリント
      カルメラ
      コンペェト
      シャッポン
      シャボン
      ジョオロ
      スゥパァ
      ステンショ
      テンプラ
      ドスベタ
      ドンタク
      パッチ
      バッテラ
      ヒロウス
      ボォロ
      ラオ
      ・・・・・・・
      この辺でストップしときまひょか(笑)。


    Last Update: Jul 23,2002