われら六稜人【第31回】次代に何が遺せるだろうか

第5映写室
六稜への熱き思い

    母校創立120周年の諸々の行事が終わるのを見届けるかのように、当時の同窓会長、鴻池藤一さん(43期)が亡くなられて、ボクが4代目の同窓会長を引き 受けることになりました。まだ、たったの5代目なんですね。以前の同窓会では北野高校校長が会長に就任されることになっていたようです。ところで六稜同窓会では旧制中学と新制高校とが一緒に途切れることなくやっていますが、実はこれは全国的には大変珍しいことなんです。大阪だけじゃないで すかね。しかも天王寺なんかは「高38期」という風に区切ってますから…「112期」なんかが存在するところは希有だと思いますよ。
    旧制中学と新制高校が繋がっているがために、六稜同窓会では上から下まで70歳ほども歳のかけ離れた人たちが一つのコミュニティーを作っています。こんな のは世界にもそうざらにはありません。何も利害関係のない人たちが「同じ学舎で学んだ」というだけで、こんなにも親近感を持って集まっているんですから ね。まずそのことに意味を感じてほしいと思います。

    ただ、若い会員の人に聞いて欲しいのですが…(ボク自身もそうでしたけれど)若いうちはそういう人的ネットワークの有り難みがちょっと判らないんですね。 卒業して30年ほど経ち、会社でも責任ある役職に立たされる頃、ようやくその有り難みが分かって来るようになると思います。
    しかし最近では六稜Web運営委員会の皆さんのご尽力により、六稜同窓会でもインターネットのホームページが開設され、多くの若い人たちが関心を寄せてく れるようになったと聞いています。30年経たなくても有り難みが分かる…そんな「時代を先取り」した同窓会になりつつあることも事実で、大変素晴しいこと であると思っています。

    さて、5月からいよいよ新六稜会館の募金がスタートします。常任理事の皆さんのごり押し(?)でボクが募金委員長ということになりました(笑)。これまで 同窓会長が募金委員長を兼任するということが皆無であったらしく、六稜の皆さんの会館に掛ける熱意がそれだけ強いということの表われであろうと理解してい ます。どこまで力になれるかわかりませんが、みなさんの熱い情熱に出来るだけ応えたいと決意しています。
    会館建設というのは大変なエネルギーを必要とします。大袈裟に言えば「同窓会としては100年に一度の大計」とも言えるでしょう。そんな時期に同窓会長で あり募金委員長であるということの責任感で身の引き締まる思いですが、同時にそんな大計に関わることが出来る幸せも感じているところです。

    会館についての詳しいお話はWebなり会報なり総会で十分に語られていますので、ここでは詳述しませんが、誰のものでもない我ら六稜、全国30,000人 の心の拠り所として、この会館が完成すれば同期やクラブOB会など同窓の縦横の親睦の輪がますます広がっていくことは確かです。
    同窓会全体で、同窓生全員で力を合わせてこの大事業に取組み、何とか成功へ繋げたいと強く願っているところです。

    先行きにようやく明るさが見えてきたと言われる日本経済ですが、現実にはまだまだ不況の影が色濃く続く時代です。そんな時期に3億5千万円という大きな募 金目標を掲げるのは至難の業だという人もいます。確かにしんどいことですが、この努力の結晶が、21世紀の幕開けを直前に控えたわれわれが、次代に何を遺 せるかをぜひ考えて欲しいと思います。
    これが大学の場合、こういう募金活動をすると直接社員として採用する機会が増えるというので企業からの募金が集まりやすいのですが、高校の場合はそうも行きません。ですから、企業からの大口の募金にあまり頼るというのも難しいと思われます。
    それよりも、一人でも多くの同窓生が、個々の金額の多寡よりも、数多く募金していただくということが何より大事なことだと思います。

    「もう少し景気が良くなってからではどうなのか」という意見を耳にしないわけではありません。けれどもボクとしてはこのタイミングしかないと思っています。
    ご存じのように北野高校の校舎は、おそらく府立高校としては最後の大改築を迎え、全国的にも稀に見る洗練された新校舎が、昨年秋にその姿を半分現わしたところです。
    残る第2期の改築工事に併せて新六稜会館の工期を便乗させることは、経済的にも、また、何より工事期間中に現場で生徒諸君や先生方が被る様々な不便や不自由を軽減させる意味においても、またとない絶好のタイミングであり、これを外すことは出来ないと思われる次第です。

    74歳のボクが、完成した会館を利用できるチャンスは、もうさほど多くはありません。しかし若い皆さんにとっては、これからの人生において、この会館で過 ごす有意義な時間や出会いが、きっと実り多いものになることであろうと願ってやみません。どうか、そういう意味からも若い皆さんのご協力を切にお願いした いと思います。

Update : Apr.23,2000

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