われら六稜人【第22回】ヤマに憑かれた放浪人生

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大人の自覚を!

    最近の世の中はいろんな方がいろんな角度からものを言ってくるから、高校生を含めて子供たちは悩んでいるんだろうと思うけど、ボクがひとつだけ本当に言いたいことは「高校生っていうのは大人である」っていうことです。子供じゃあない。
    昔、元服といったら15才でしょ。高校生は成人なんですよ。いま、日本の法律では、成人を20才と決めたでしょ。どうしてあぁなったか知りませんけれど、 ボクはこれを15才にすべきだと思う。15才になった時に「あなたは一人前の大人である」と社会が認めることにおいて、その人間に自立性ができてくるんで す。現在の世の中はそういうことをやってくれない。重要なことは高校生が自ら「大人たれ」ということです。例えば部活でも大人の社会を作らなければならない。 学校で勉強するのでもね。「言われるから、やる」というのでは無しにね。「自分から必要を感じて、やる」というふうにね。

    ボク自身ね…英語の苦手な生徒だったんですよ。今でも水鳥先生によく言われるのは「お前、カナダでよく飯が喰えるな」って(笑)。
    ところが就職した途端に「北大出てるから」ってことで、英語圏の人とつきあうことになったのが一つの契機でね。それでも適当にごまかしてやってたんだけど…考えてみたらあんな面白くないもの、ないですよ。英語の勉強なんてね(笑)。
    ところがね。南極をやるということにおいて、犬ぞりを成功させるということにおいて、英語の本を読まねばならない…これは必死だったよ。当時ボクは、犬ぞ りに関しては日本一良く知っているというくらい権威になった。それはやっぱり「先に何か目的がある」からやるのであってね。とにかく英語の勉強だけしろっ て言ったって…それはできませんよ。その「必要にせまられる」ということはね。「大学にいくこと」じゃなしに「何をやるか」ということなんですよね。

    高校生っていうのは…学校の先生からみれば「子供」かも知れませんけどね。もう完全な大人なんです。ボクはアメリカの高校生とつきあってますけどね。彼等 は荒いですよ、確かに。発砲事件もバンバンやってますしね(笑)。でもそれは、高校生の社会だけがおかしい…っていうわけじゃないのね。大人だってバンバ ンやってるし。
    だからボクは「学生っていうのは、批判的な立場でもって世の中を見る大人」であると思うんです。日本の高校生にももっと大人になって欲しいと思います。

    北野の先輩には政治家もいるし、芸術家もいるし、文筆家もしるし、もちろん商売人はもっとたくさんいるし(笑)。恵まれてると思いますよ。安心してますけどね……。

Update : Jul.23,1999

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