Ⅰ.日時 | 2024年10月16日(水)11時30分~13時00分 |
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Ⅱ.場所 | バグースプレイス パーティルーム |
Ⅲ.出席者数 | 43名 |
Ⅳ.講師 |
河野 次郎さん@90期(コンサルタント、ファイナンシャル&コンプライアンス・ナビゲーター) 1978年、北野高校卒業。1982年、一橋大学経済学部卒業。シティバンク東京支店に入行。財務部にて予算管理を担当し、報告用データ作成のシステム構築をはじめ、信託銀行設立プロジェクトで証券運用管理システムと信託勘定管理システムの構築を行う。その後クレディ・スイス信託へ移籍し日本初の銀行系投信子会社の業務責任者となる、英国プルーデンシャル生命の投資運用子会社の設立を担当の後、スカダー・インベストメンツに移籍、その直後にドイツ銀行による吸収合併による失職を経験。同時に2002年4月に前職のシティトラスト信託銀行に乞われ業務監理及び情報セキュリティ担当者として復帰。同社および同社グループの法令違反等により資産運用事業から撤退、信託銀行免許の返上を経験し、コンプライアンスへのキャリア転換を決意し、米国フェニックス大学のオンラインコースにて経営学修士号を働きながら取得。 |
Ⅴ.演題 | 『資産運用とリスク&コンプライアンス』 |
Ⅵ.事前宣伝 | 1980年代から90年代の資産バブルとその後始末、2000年以降は、以前から進められてきた日本金融市場の開放と金融制度改革、リーマンショックをはじめとする金融危機や年金運用資産消失などの不祥事など、12の外資系資産運用会社の現場で、業務開発またはコンプライアンス担当として経験したこと、そしてそのなかで学んだことや感じたことを、みなさまとご共有できればと思っています。 外資系の会社で働くということ、転職をする(12社を経験)ということ、証券投資や資産運用をするということ、自分自身のライフマネジメントを行うということなど、資産バブル期とそれ以降の資産運用業界の変遷を振り返りながら、自分の経験を交えてお話しさせていただきたいと思います。 |
Ⅶ.講演概要 | 紹介者は同期の樋口義弘さん。
「高校生の頃、私は彼とは全く面識がありませんでした。私が社会人となり、東京に出てきて初めて同期会に出席したとき、私に積極的に話しかけてくれたのが河野君でした。彼のおかげで私は同期会活動に参加するようになりました。今日も彼の応援団が大勢出席していますが、それが彼の人柄を表しているのだと思います。
はじめに SusHi Tech Tokyo(スシテックトーキョー)のこと・Sustainable High City Tech Tokyo 現代金融史(激動の!)・・・配布資料の年表を参照激動の昭和バブル時代 - 1982年から1995年までの13年間日米間の貿易摩擦・金融摩擦が起こり、米国からは金融市場を含む国内市場の開放を迫られていた。そんな中で日本では資産バブルが発生し、やがてバブル崩壊して長期的な不況、そして1995年の阪神淡路大震災、その翌月の地下鉄サリン事件が発生した時代。 バブル崩壊とスキャンダルと制度改革時代 - 1995年から2005年の10年間バブル崩壊により、大蔵省、クレディ・スイス、シティバンクなどで次々と金融スキャンダルが発覚、これらをきっかけに制度改革が行われた。大蔵省は解体され金融監督庁(現金融庁)が設置された。クレディ・スイスのグループ会社は不正な不良債権取引により免許取消しの行政処分を受け、シティバンクのプライベートバンク部門は法令違反等に問われ日本から撤退、信託銀行は廃業となった。
失われた20年、金融市場雌伏の時代 - 2005年から2019年の14年間金融庁が設置され、金融商品取引法が整備されて制度が整うにつれて会計制度や年金制度の問題点が浮き彫りになり、様々な問題が発生しつつも金融市場に関わる制度が整備された時期。
次へ ― 2019年(令和!)から・コロナ禍により社会の流れが変わった。
外資(アメリカ系)企業で働くと言うこと1.アマノジャクの無謀な選択 アメリカの銀行・基本的にアマノジャクな性格で、人の行かない大学、人の行かない外国の銀行を選んできた。
2.大切なことはここで学んだ アメリカの銀行・外資系企業で働く上で大切なことは、シティバンク時代に学んだ。合理的な研修プログラム、グローバルな研修地、ロジカル・シンキング、自主性、グローバルな人事異動、邦銀文化の特殊性など。
初めての転職としくじり3.転職するということ・金融業界は、扱う対象が「お金」であり業務内容は国や企業に関係なく共通のものが多く、標準化が進んでいた。経験者採用の枠組みが設けられていた。金融業界は実績を持っていれば転職しやすい業種だった。
4.勘違いだらけの転職・転職してみると、初めてのことばかりで戸惑うことが多かった
不祥事から、コンプライアンスへ転向5.不祥事とコンプライアンス・クレディ・スイスは、バブル崩壊の日本の金融機関の不良債権の後始末に不適切な商品の提供を行い、行政処分を受けた。
6.経営学修士(MBA)・外資系マネジメントの共通言語(MBA)を身につけたかった。
その後の転職事情、ジョブ型転職と得たもの7.その後の転職事情・前職の同僚の紹介(これまで一番多くて確か)
8.外資系のジョブ型転職・外部からの人材確保のため、明確な業務分掌の「ジョブ型」という働き方システム。
9.12回の転職で得たもの・多様な価値観と複眼的な視野が持てるようになった。
企業も個人もリスク管理10.企業経営のリスクと対応・企業にとっては、その企業の目的が達成できないことがリスク。
11.人生のリスクと対応・人生の目的は幸福を継続して感じていられること(ウェルビーイング:心身の健康+必要十分な資金+社会との繋がり)
まとめ:これからのライフ・プランと資産運用12.無謀な選択から得たもの・専門性、オーナーシップ(自主性)、論理的思考と決断と行動力、クリティカル・シンキングをベースにした行動や思考が出来るようになった。
13.令和、次へ・崩れつつある「メンバーシップ型」ジョブ。個人の自己責任の時代が始まった。
シニアのリスクとライフ・プラン・ウェルビーイングの実現、主観的な幸福感を高める。
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Ⅷ.質疑応答 |
橋口善郎さん 78期Q:私は、商社の財務関係の仕事に携わり、2000年に引退するまではシティバンクと縁のある仕事をしていました。今日は私が引退してからの金融界の事情について、全く知らなかった話もでてきました。実際の金融スキャンダルの現場では、どのように身をかわされてきたのですか? A:クレディ・スイス時代のスキャンダルでは、私の専門や私が所属していた部門は該当部門から少し距離がありましたので、直接関わることはありませんでした。よく知っている前職の同僚や先輩が当局から厳しく問い詰められているのを遠くで見ている立場でした。また、シティバンクのプライベートバンクのスキャンダルは、特定の支店が免許取り消しとなり日本から撤退を余儀なくされ、逮捕者も出た大きな事件でありました。
村井正親さん 96期Q:農林中央金庫(農林中金)が、外国債券の運用で多額の損失(最終損益4000億円余り)を出したニュースがこの春に流れていました。この問題について、私は農林水産省・経営局局長として、金融庁とも協力し、農林中金の経営や投融資・資産運用のあり方について検証・指導・監督する仕事にかかわってきました。農林中金(JA:農協、JF:漁協、JForest:森組などの共同組織により設立された系統金融)という特殊な事業体の運営について、一般論で良いのでお聞かせ下さい。 A:農林中金さんは資産運用業界ではとても大きな存在です。日本で一番大きなお金を持っているお客様で、日本国内最大規模の機関投資家として知られています。日本全国の農協等の系統金融機関の資金を預かり、運用を一手に引き受けていると認識しています。普通の銀行であれば自身の支店ですから本社が経営方針を統轄管理しますが、農林中金と独立経営をされている系統金融組織との関係のような場合、指揮系統が分断されていますので、経営方針の統轄を図るのはとても難しいと思います。それは日本にいる外資系金融機関の本国の本社と現地法人との関係に似ているかも知れません。海外にある本社とは言葉や法律や商品が違いますから価値観も違ってきますので、ある意味、本社から分断されているようなものです。すると、本社からの指示でも、わかりやすいところしか実行しない、自分がやりたいことしかやらない、という状態に落ち着いていきます。分断されている組織が、同じ価値観を持つことや経営方針を共有するためには、より一層のコミュニケーションを取ることが必要だと思います。
増田昭雄さん 90期(学年幹事、大阪より参加)Q:転職すると、給料は上がりますか? A:必ずしも上がるわけではありません。転職するときの状況、つまり私の状況と転職先の双方の状況により、上がることも下がることもあります。私の知識や経験、専門能力がその会社に必要とされていれば、高い給料でオファーをもらえますし、在籍している会社の状況や自分のポジションの状況が怪しくなれば、安い給料でも他社からオファーをもらえば移ることもあります。そんな状況で、転職後間もなく本来の条件でオファーを頂いたので3か月程度で再度転職すると言うような、不義理なことをしたこともあります。転職先は、社会状況や自分の状況、転職先の会社の状況、そして自分が何をやりたいか、によって変わってきます。
樋口義弘さん 90期Q:家族から転職をしたいと相談された時、河野さんならどのようなアドバイスをされますか? A: 私自身、よく考えもせず勘違いをしたまま転職して大変な思いをした経験がありますので、彼(彼女)がよく考えられるように手助けをします。まず、今なぜ仕事をしているのか?仕事は面白いのか?今の仕事を辞める理由などを彼(彼女)に尋ねます。そして、次に何がしたいのか、どういった所へ行くのか、本当にその仕事がしたいのか、今の仕事とどう違うのか、先のことを考えているのか、転職したら自分でやらなくてはいけないことが本当に分かっているのか、を確認します。その上で先に進むべきか、現状のままとどまるべきかをアドバイスすると思います。
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Ⅸ.資料 | プレゼンテーションデータ「Tokyo Rikuryo 20241016 Slides」
記録:野田美佳(94期) |
Ⅹ.講演風景 |