1.民営化の概要
(1) 「〒10.1 いよいよ民営化」
「〒10.1 いよいよ民営化」と7月1日・2日に全国紙に広告を出した。今も私の簡保は大丈夫?と聞かれたが大丈夫。広告にあるように「これまでと変わ ることなく郵便、貯金、保険のサービスを御提供します。」民営化で日本郵政公社は、持株会社(日本郵政(株))と、郵便事業株式会社、(株)ゆうちょ銀 行、(株)かんぽ生命三社と、三社から窓口業務委託を受ける郵便局株式会社に分社化され、日本郵政グループとなる。既契約の定期性郵便貯金、簡保には政府 保証が継続されるが、民営化に伴い新契約は、民間同様、預金保険機構や保険契約者保護制度で保護される(詳細は郵便局よりお知らせの冊子を8月にはお届け する)。
郵便局は、大きな局には貯金、保険の直営店を置くが、普通の局は職員も郵便の内務外務作業を行う郵便事業株式会社の支店と、窓口業務や金融の渉外を持つ郵便局株式会社の郵便局にわかれる。
組合もチャレンジしようとしてくれており、JPU(12万人)と全郵政(8万人)も合併して民営化に対応することとしている。変わりなく御利用いただけ るだけでなく、あいさつなど当然のことながら民営化して良くなったと言われなくてはいけないと思っている。現在、郵便局では一生懸命リハーサルをしてい る。
(2) 民営化法の成立と民営化準備
大きな議論を経て郵政民営化法は一昨年10月14日に成立した。閣議メンバーの郵政民営化推進本部、そのもとで民営化を推進監視する民営化推進委員会(田 中直毅委員長)のもとで、昨年1月に日本郵政株式会社を、9月には株式会社ゆうちょ、株式会社かんぽを設立し、民営化へ準備を進めている。 日本郵政株式会社に西川社長、各社CEO、COO予定の取締役、奥田、牛尾、丹羽さん等社外取締役のもと、ガバナンスを効かせ現場力を重視しつつ、民間 各界からの支援をいただき準備を進めている。
(3) 民営化会社への承継計画
昨年9月に公社から民営化会社への承継計画の骨格を、本年4月には24万職員や財産の帰属を含め50万枚近くの承継計画を政府に提出した。民営化委員会は 当社からの説明、民間のヒヤリング、パブリックコメントを経て、この計画は政府の方針に沿ったものと評価されたところである。
そしていよいよ10月1日に、持株会社である日本郵政株式会社の全株式保有のもと、郵便事業株式会社と郵便局株式会社、株式会社ゆうちょ銀行、株式会社 かんぽ生命が発足することになる。このあと、10年間の移行期の間に(株)ゆうちょ銀行、(株)かんぽ生命の株式は100%、持株会社についても政府保有 は1/3超までということで処分し、平成29年には最終的な民営化の実現を迎えることになる。
2.創業136年 過去、現在、未来
国会でも、〒マークと前島密1円切手は変えないだろうなと質問があったことがある。これまでの郵便局の信頼を礎に、民間企業としての創造性を活かしていくために、過去現在未来を考えてみたい。
(1) 創業
明治4年3月1日(太陽暦4月20日)、今の日本橋郵便局の場所にあった四日市駅逓寮から、今の日銀大阪支店の場所にあった蔵屋敷に置かれた大阪郵便役所へ75時間かけて約300通の郵便が届けられたのが、郵便の創業である。
前島密は、郵便、貯金、保険の創業、電話の開始はもとより、江戸遷都の建言、鉄道敷設の立案、新聞育成、陸運送会社創立、海運振興、東京専門学校(早稲田大学)の創立等各方面に活躍している。
また、少しの礼遇をすることにより庄屋の屋敷の片隅に郵便局をおき、ネットワークを拡げた、これが特定局でありいわば「民活」であった。
福沢諭吉にしても、「(パリで手紙を出そうとして)手紙に四角い紙片を貼って、町内どこにでもある箱に入れたら届くと言われて、何度も訪問してようやく 腑におちて、郵便というのはなるほど旨い通信法と感心した」ということが全集に載っている。維新のスケールの大きさは驚嘆すべきものである。
(2) 現在
郵便は、年間の引受けが約247億通、1日あたり約7,000万通弱を約3,000万戸(全世帯事業所の53%)にお届けし、貯金は残高約185兆円、利 用世帯は約4,000万世帯で利用率は85%強、簡保は資金量約110兆円強で、約2,800万世帯の加入(加入率56%)と広く利用されている。生田前 総裁も「外から見て郵便だけがユニバーサルサービスかと見えたが、全国を回って家計簿代わりの郵貯、葬式代の簡保の役割に気付いた」と、言っていた。
郵便局は特定局19,000局をはじめ、普通局1,300局、簡易局4,400局、合計24,700局、これは小学校の数とほぼ同じで子供が歩いていけ るということ。常勤職員も26万人(現在24万人)、非常勤職員は8時間換算で12万人という大きなネットワークで、広く御利用をいただいている。国民的 資産といえるかもしれない。
日本郵政公社の4年間の中期経営計画も、真っ向サービスのスローガンのもと郵便のフレーム切手、貯金の投信販売、かんぽのながいきくん・ばらんす型(倍型終身保険)など新しい取組みもあり、利用減の中で目標を達成し国庫納付金を納付した。
(3) 未来
民営化にあたって内閣民営化準備室が出された「だから、いま民営化」という冊子には、3つのメリットとして
1)全国津々浦々の郵便局をもっと便利に
2)約27万人(当時)の国家公務員を民間人に(約3割減少)
3)膨大な郵貯簡保資金を民間で利用可能に
とあり、3つの工夫として
1)郵便局窓口は不便とならないように配慮
2)これまでの貯金保険の契約はこれまで通りの取扱い
3)監視組織の下で段階的民営化
とうたっている。
このような基本方針のもと、新スローガンを「あたらしいふつうをつくる」とし、お客さまにとって身近な存在であり続けるために真摯に取り組んでいくこと とし、郵政グループのロゴはJP、またユニフォームも長島一茂(映画「ポストマン」の主人公)もカッコイイと言ったものに一新することとしている。
新しいサービスは金融については民営化委員会の審査を受けることとなり、運用の多様化や住宅ローン、クレジットカード(共用カードはすでに御利用いただいている)などを検討しているが、質の高い経営管理を前提に御検討いただけると思う。
また、郵便局株式会社については、カタログ販売(ふるさと小包で3,000万個御利用いただいている)や民間にもネットワークを御利用いただくものとして、手始めに自動車保険などを検討している。
また、大変歴史のある戦前の名建築・東京中央郵便局も周りの開発から取り残されており、37階建ての高層ビルを2011年度に着工の計画である。一方、大阪中央郵便局も同様の事情にあり検討を進めているところである。これらは公社ではできなかったことである。
そして、金融二社も可能ならば3年目、5年間での株式の処分を目指し、日本郵政株式会社も同時期の上場を目指している。このためにはしっかりした経営管理体制が必要であると考えている。
(4) これからも「あたらしいふつう」として
これからもお客さまのもっとも身近な存在として御利用いただけるよう、郵便局が民営化して良かったと言われるよう頑張っていきたい。何分大作業であり行 き届かぬこともあるかと思われるが、お気付きの点は s-hiros@japanpost.co.jp までお願いします。1つ1つ直しておこたえします。 |