12月20日開催
江川裕人さん@87期(日本移植学会理事長/東京女子医科大学 消化器病センター 外科 教授)
学歴: 昭和50年3月 大阪府立北野高等学校卒業昭和57年3月 京都大学医学部卒業
平成4年3月 京都大学大学院医学研究科博士課程終了 職歴: 昭和57年4月 京都大学医学部外科入局、付属病院外科研修医
昭和58年3月 香川県坂出市回生病院外科医員
昭和61年1月 国家公務員等共済組合連合会長尾病院外科医員
昭和61年7月 国家公務員等共済組合連合会新香里病院外科医員
平成4年4月 カリフォルニアパシフィックメディカルセンター 移植外科研究員
平成6年6月 京都大学医学部第二外科医員
平成8年4月 京都大学医学部付属病院移植外科医員
平成9年5月 京都大学大学院医学研究科移植免疫医学講座助手
平成11年10月 京都大学医学部大学院移植免疫医学講座講師
平成14年5月 京都大学医学部付属病院臓器移植医療部助教授(准教授)
平成21年4月 朝日大学村上記念病院 外科教授
平成23年4月 東京女子医科大学 消化器病センター 外科 臨床教授
平成26年4月 東京女子医科大学 消化器病センター 外科 教授 国際学会会員:
米国移植学会、米国肝臓病学会、国際移植学会、国際肝移植学会、国際肝癌研究会、国際肝胆膵外科学会学会役職:
日本移植学会 理事長
The Transplantation Society (TTS, 国際移植学会) Council, Science committee
International Liver Transplant Society (ILTS, 国際肝移植学会) Council、Educational committee
Asian Transplantation Society Council専門医・指導医:
日本外科学会 指導医 専門医
日本消化器外科学会 指導医 専門医 評議員
肝胆膵外科学会 高度技能指導医 評議員
日本肝臓学会 専門医 評議員
日本移植学会 認定医
その他:
American Journal of Transplantation Associate Editor
≪講演内容≫
人口に比較して臓器移植数が少ないが、移植後の成績が世界の水準を遥かに上回るのは日本の特徴である。つまりは、医療技術が発展しているが臓器提供が少ないのがその理由である。自国内で移植医療が完結できる様努力すべしとイスタンブール宣言に定められている。
最近の調査では自分が脳死状態になった際に臓器提供すると答えた割合が、全年齢で44%、40歳までの集団では6割を越えた。移植関連学会と行政はその尊い意思をかなえるべくさまざまの方策を試みている。
また、臓器提供が進んだ状況で提供の意思を叶えるためには、移植を行う医療体制の整備が重要である。外科医が減少し、働き方改革の荒らしが吹き荒れるなか、体制維持と後進育成が困難な状況である。
移植医療は、免疫学がそのまま日常医療に反映される場である。免疫抑制療法の進歩に伴い移植の成績は劇的に進歩したが、今尚、苦戦している分野もある。その代表が抗体関連拒絶であり、世界中で免疫学者がその解決に取り組んでいる。更に、その研究を進めた先に、免疫抑制そのものが不要となる状態:免疫寛容がある。長年の研究で、少しずつ実現化している。
臓器移植は、科学と倫理、理性と愛の融合からなる人類が到達し得る最高の結晶である一方で悪意と貧困により簡単に悪魔の手に落ちる危うい医療である。