【第181回】1月「阿呆のすすめ」

Ⅰ.日時 2018年1月18日(木)11時30分~14時
Ⅱ.場所 THE BAGUS PLACE
Ⅲ.出席者数 77名
Ⅳ.講師 ひろさちやさん@67期 (宗教評論家)

本名 増原良彦。
1960年東京大学文学部インド哲学科卒業。
1965年同大学大学博士課程修了、気象大学校講師に就任。
同校教授を経て1985年気象大学校退職。大正大学客員教授に就任。教員生活の傍ら、「ひろさちや」のペンネームで平易な言葉で多数の入門書を執筆し、一般の人々に仏教を身近な物として再認識させた。ペンネームの由来は、ギリシャ語で愛するを意味するPhilo(フィロ)と、サンスクリット語で真理を意味するsatya(サティヤ)の造語である。本来の仏教を伝えるべく執筆と講演活動を行なっている。『ひろさちやの般若心経88講』『仏教とキリスト教』『仏教と儒教』『キリスト教とイスラム教』『宗教練習問題』『愛の研究』『「狂い」のすすめ』『無責任のすすめ』『「無関心」のすすめ』など著書多数。
Ⅴ.演題 「阿呆のすすめ」
Ⅵ.事前宣伝 「問題を解決しようとして、それに失敗する人が馬鹿です。しかし、阿呆はあえて問題を解決しようとはしません。問題をかかえたまま、楽しく生きようとします。そういう阿呆になろうではありませんか。」
Ⅶ.講演概要 今回の講演は、先ず最初に出席者に対し「馬鹿」と「阿呆」はどう違うかという質問から始まった。「馬鹿」は「問題を解決しようとして失敗する」。「阿呆」は「問題を解決しようとしない、そして、知らない内に解決する」のである。「解決しようとするな」というのが仏教の教えである。

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ところでこの会場にも「オバーさん」がいるが「オバーさん」とはどういう人か?「元は、子供を産む能力があり、ふてぶてしく生きている者」である。因みに辞書で男と女を引いてみると、男とは:「人間の性別の一つで女でない方」。 女とは:「人間の性別の一つで子供を産める能力のある者」 と出ている。

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野生の動物は死ぬまでメンスがある。人間とゴンドウクジラ以外は死ぬまでメンスがある。ゴンドウクジラは子育て中でも次の子供を産み、生んだ自分の子供を育てている。

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嫁と姑のいさかいは、解決しようとして失敗している。従って解決しようとしては、いけないのである。「人生は苦」である。思うがままにならないのが苦である。従って、しようとしなければそれで良い、諦めれば良い、ほどほどにすれば良いのである。皆さんは皆貧乏である。何故か、50億円以上なければ貧乏なのである。50億円以上持っている人が、日本には3,600人もいる。

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99頭も牛を持っている男が友人のところへ行き、100頭にしたいので1頭くれないかと頼んだ。100頭になれば、110頭欲しくなり更に500、1000と欲望が制限なく膨らむ。「のんびり」、「ゆったり」「ほどほどに」、が仏教の教えである。あくせくして生きてはいけないのである。仏教は、食べ物でも「美味しい食べ物を食べる」のではない。「美味しく食べる」のである。病人は治るまで病人である。人間には一つの糸まりが与えられている。その糸まりがほどけた時が寿命である。

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仏教では「方便」が絶対であり、目的地には絶対に近づけない。我々の目的地は星であり、近づいていくのが楽しいのである。

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大学入試においても、入学を目標とするから、失敗するとがっくりするが、歩んでいくのが楽しいのである。以前パキスタンに行った時ガイドに翌朝早く出発するから、何時までに迎えに来るように伝えておいたが、かなり遅刻して来た。詰問すると、「覚ましが鳴らなかった」と言う。「それでは目覚ましを複数掛けておけば良い」と言うと、「間覚ましが鳴らなかったのは神が望まなかったからだ」と言う。
イスラム教徒は頻繁に「インシャアラー」と言う。今回も、何でも「インシャアラー」である。「時間を気にしなさんな」ということはコーランに書かれている。要は、「神様に任せる」のである。

(註)イスラム教徒が「インシャアラー」と言う時は、アラビア語で「アッラー(神)がお望みならば、アッラーの御心のままに」「全ては神の思し召し」という意味である。

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仏教では:「過去を追うな」「未来を求めるな」(なるようにしかならない)「反省するな」(反省してもどうなるものではない)「希望を持つな」(欲を持てば現実はみじめになる)要は、「今を大事に生きよ」ということである。「仏教」でいう「南無」とは、お任せするという意味である。

つまり、未来はどうなるか判らない。

「のんびり」「ゆったり」「あくせくせず」に生きることである。

Ⅷ.資料 なし

 

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