Ⅰ.日時 | 2017年5月17日(水)11時30分~14時 |
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Ⅱ.場所 | 銀座ライオン7丁目店6階 |
Ⅲ.出席者数 | 78名 |
Ⅳ.講師 | 中村豊四郎さん@81期 (アール・イー・アイ株式会社 代表取締役) (同期生からの紹介)千葉大学工業意匠科卒業、デザイン設計事務所を経て1989年独立、アール・イー・アイ(株)を設立して現在に至る。講師の趣味はプロ級のガラス工芸、中目黒で隔年個展を開いている。 |
Ⅴ.演題 | 「公共交通のわかりやすい案内」 |
Ⅵ.事前宣伝 | 「近年、公共交通網は利便性が増す一方で複雑化も否めません。 移動のための案内にはモバイル機器などによる即時情報と、街にある誘導標などの固定情報があります。私は永年、固定情報の案内表示システムに携わってきました。身近なところでは東京メトロや都営地下鉄の駅の案内表示(サインシステム)は私どもの設計です。 案内表示も複雑になってきていると、感じておられる方も多いと思います。そこには、鉄道路線の相互乗り入れや駅の複雑化、利用者の多様化など、多くの要因が見られます。利用者の高齢化つまり私達の視点で、交通の案内についてお話ししたいと思います。」 |
Ⅶ.講演概要 | 今回もパソコンにより多くの画像を写しながら話が進められた。 また、詳しいレジュメが出席者に配布され、それに沿って説明がなされた。 ++-++-++-++-++
近頃、まちで白杖や車椅子を使う人と出会うことが多くなった。これは、そういった人達が増えたというよりも、外出しやすい環境が整いつつある結果と考えられる。また、すれ違った人達の話す言葉が実は外国語であったなど、まちを行き交う人達が明らかに変わってきている。多様な人々がスムーズに移動するための案内表示(サイン)が本日のテーマである。
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外出先で、今どこにいるか?どちらに行けば良いか? (1)知る手立て(利用者): 視覚(表示、景色)、聴覚(放送、信号音、環境音)、触覚(点字、誘導ブロック、路面素材)、嗅覚(匂い) (2)知らせる手立て(提供者): 視覚(表示)聴覚(放送、信号音)、触覚(点字、誘導ブロック)嗅覚(匂い=稀に用いられる) (3)我が国の公共サインの生い立ち: (イ)1964年の第18回東京オリンピックや1970年の大阪万国博覧会。 (ロ)1973年から採用された帝都高速度交通営団(営団地下鉄)のサインシステム。(色を分ける=路線を青、赤など。出口表示は黄色) これらが現在多くの鉄道会社で採用されているサインの原型となっている。 (4)サインの評価には二つの側面 (イ)表示面単体の評価:字が大きい、図がはっきりしている、見やすい等: 一般的にはこの側面だけで評価されることが多い (ロ)集合体の評価:各種サインの役割分担と連携が良くできている:重要な要件。評価には専門的な知見を要する。
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サインシステムを更新すべき時代背景の変化: (1)鉄道ネットワークの複雑化と駅構造の変化 営団地下鉄のサインシステムが作られた1970年代、東京の地下鉄路線は営団線と都営線を合わせて9路線であったが、現在は13路線。路線が交差する乗換駅数が倍増している。 (2)利用者の変化とユニバーサルデザイン: 2015年までの45年間で国民の平均年齢は15.3歳上がっている。高齢化は視覚や歩行機能の低下を齎した。大きな文字で、より簡潔な表現を採らなければならない。視覚障害と一言で括ってしまわれがちだが、全盲だけでなく、低視力欠損、視野狭窄ほか多くの種類の症状と見え難さの段階がある。 (3)多言語対応: 2003年、ビジット・ジャパン・キャンペーンの開始で、サインに多言語表記が求められた。限られた表示面に更に言語を加えることは視認性が低下するため、慎重にならざるを得なかった。 (4)バリアフリールート: 2007年に定められた「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律」に先立って駅にはエレベーターの設置が進められた。新たなエレベーター設置は場所の確保困難から、従前の階段利用ルートとはかけ離れた位置となることが多く、そのため案内が複雑になる。 (5)今後の課題: (イ)鉄道各社間の違いの調整。東京の地下鉄は10路線が相互直通乗り入れ (ロ)交通の連携では鉄道駅でのバス案内 (ハ)モバイル機器とサインの役割分担 モバイル機器の普及は交通利用者の行動パターンを変えた。例えば待ち合わせる場合に、大体決めておいてあとはスマートホンで連絡を取り合って落ち合うといった行動パターンが見られる。移動経路や時刻を事前に計画することに厳密ではなくなった。こういった人たちはスマホのナビに頼って歩き、サインを見ない。一方、モバイル機器の自動翻訳の能力には目を見張るものがある。
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まとめ: ものごとを理解する際にはそのひとの経験に負うところが大きい。 以上 |
Ⅷ.資料 | なし |