今回の話の内容について、世話人の方から理論よりも具体的な話をするように言われているので、自分が37年間社会保険庁に勤務した経験に基づき、出来るだけ判り易い話をしてみたい。
イ)日本の年金制度の姿(イメージ図による説明)
第一号被保険者(自営業者等) 2,237万人
第二号被保険者(サラリーマン等)3,685万人
第三号被保険者(被扶養配偶者) 1,124万人
公的年金:厚生年金、国民年金、退職共済年金
企業年金:厚生年金基金、税制適格年金、確定給付企業年金
一階部分:国民年金(基礎年金)…第一号~第三号共通
二階部分:国民年金、付加年金……第一号被保険者
厚生年金、共済年金……第二号被保険者
三階部分:厚生年金基金、税制適格年金、確定給付企業年金等
……第二号被保険者
上記夫々の年金ファンド:
国民年金:10兆円、厚生年金:138兆円、共済年金:50兆円、
年金基金:51兆円、適格年金:21兆円、確定給付年金:3千億円
ロ)年金見込額のお知らせ
58歳の人をターゲットにして受給見込額を知らせるようになったが受給者本人も自分の加入月数をチェックした方が良い。 転勤の多いサラリーマン等で企業側の誤りが散見された例あり。なお、年金を受取る場合「支給の繰り下げ」により受給額を増やせることも知っておいた方が良い。例えば受給開始を70歳までずらすと基礎年金部分が80%位増える。
ハ)年金額の計算方法
配付された社会保険新報(写)に特別支給の老齢厚生年金の計算例が記載されているが、複雑につき省略。
ニ)年金が支給停止となる場合
*働くこととなり厚生年金に再加入したため
(厚生年金保険に加入している間(70歳まで)は、年金額と給料・賞与の額によって年金の一部又は全部が支給停止される)
*雇用保険から失業保険金等を受けているため
(会社を退職し、雇用保険の基本手当(いわゆる失業給付)を受けている間は、特別支給の老齢厚生年金は全額支給停止となる)
*現況届を出し忘れていたため
ホ)年金相談の窓口
東京都内には、新橋、新宿、立川、町田、国分寺の5ヶ所の年金相談センターがあり厚生年金や国民年金の受給に関する相談や裁定請求書等の受付を行なってい る。社会保険事務所は混雑しているが、相談センターは比較的空いているので相談したいことがある場合はセンターの利用をお薦めする。
へ)その他
厚生年金基金連合会は「代行返上事務」や解散した厚生年金基金の移管事務を行なっているが、記号番号、資格取得年月日、報酬月額等の誤りが散見される。基金の記録を国の記録と突合、これらの誤りを全て訂正し年金支給に遺漏のないようにしている。
なお、年金についての情報は社会保険庁のホームページ(http://www.sia.go.jp/)にも掲載されているのでご参照頂きたい。 |