第12回 「陶芸の世界」 和太守卑良さん @74期

reporter:峯 和男(65期)

    日時: 2003年12月17日(水)11時30分~14時
    場所: 銀座ライオン7丁目店6階
    出席者: 47名(内65会メンバー:太田、大隅、梶本、正林、山根、峯)
    講師: 陶芸家・東北芸術工科大学教授 和太守卑良氏(74期)
    演題: 「陶芸の世界」
    講師紹介: 74期に卒業後、京都市立大学工芸科を経て陶芸の道に入る。NHKの教育テレビ番組「趣味悠々」に14回にわたり出演。三越百貨店において9月に展覧会開催。新六稜会館一階サロン正面壁面に陶板大作「聖方」を寄贈。
    講演内容:
    (要点のみ)
    *筆者注:今回の講演は、スライド画面を見ながらの説明であったため実際に出席していなかった方にとっては判り難い部分があると思われる。また、これを文章で判り易く説明することもかなり難しいことを予めご諒承願います。

    (1)自分は変な陶芸家である。いろいろなことをやっており、作風が毎年のように変わる。この道一筋、例えば青磁一筋でやってきたような人に較べると極めて変わっていると言える。また、自分は50歳で回顧展をやった。これも先ず例がないと思う。

    (2)陶芸においては紋様が重要と思っている。人間の創造活動の最初は紋様を刻み付けることだったと考える。

    (3)自分は紋様を写実するのではなく、紋様を刻み付ける行為を陶器の材質にしてしまう。つまり、先ず紋様ありきで、それに二次的な紋様をつける。この時、自分の中にあるいろいろな物を表現する。すると違う形が出て来る。これは昔から職人が多彩にやってきたことである。
    一つの作品に別の要素を入れると全く違うものが出来る。

    (4)陶器と器(ウツワ)は離れがたい関係。“器”という線の上を振り子が振れているという感じ。この振り子が反対方向に振れれば異なったものが出来る。

    (5)陶器という文字にある“コザトヘン”は神の降りてくる梯子という意味がある。ここに神と人との接触があり、その間にある材質として陶器がある。

    (6)ここまでは薬を使わない作品を示した。以下は薬を使った作品。薬で紋様を描くと薬を使うことによる変化がはっきり表れる。六稜会館に収めた作品にも薬を使っている。
    (スライドにより)矩形を重ねていった作品、文字を紋様にしようとした作品、砂っぽい土を使った作品等‥を示す。
    材質とやり方を変えると全く異なった作品が出来る。

    (7)香炉は遊びと楽しみが出来る。茶道で使う水差しにもいろいろな楽しみが出来る。
    (スライドを示し)この象嵌を作る手法は自分のメインの手法である。

    (8)昔の人は単純な図形で天と地を表そうとした。その例は古墳であり円筒と角の組み合わせである。彫刻は外側から眺める世界で、物を刳り抜いたらそれで終るが、陶芸家はその内側が気になる。

    (9)(スライドを示し)陶器で茶室の全ての空間を作った。器の中に入り器を使った。実際に茶会もやった。このようなことをやるとその都度誤解を受ける。 しかし、自分としては陶芸に表れた一つ一つのキャラクターを作り続けていく。そのうち何時かはストーリーが見えて来るのではないかと思っている。

    (なお、来年10月頃三越で個展開催予定の由・・・筆者注)