第3回 「私の人生」 牟田 悌三氏

reporter:峯 和男(65期)

    日時: 2003年3月19日(水)11時30分~14時
    場所: 銀座ライオン7丁目店6階
    出席者: 65名(内65会メンバー 3名)
    講師及び演題: 牟田 悌三氏 「私の人生」
    (牟田氏は大山会長と同じ町内という縁で友情出演)
    講演内容:
    (要点のみ)
    (1)自分は終戦の年に麻布中学に入学したが、同校は別名“遊ぶ中”といわれる位良く遊ぶ学生が多かった。大学を選ぶ時、北海道への憧れがあり ちまちました都会より雄大なところでと思い、北海道大学へ行った。

    (2)良く引用されるクラーク博士の言葉、”Boys be ambitious !”は 「金、名声、地位等を求めてはならない、人間としてあるべき姿を追求する志を持て」という意味。

    (3)現在の子供達は遊んでいない。我々の時代のように皆で遊ぶ中から いろいろな事を学んだが、それがなくなってしまった。中教審で もっと子供を遊ばせようと発言したところ座が白けてしまった。

    (4)ロータリークラブの記念事業として“障害の垣根をなくそう会” という名のもとに障害者との交流を行った。単年度の予定が10年 継続した。

    (5)この経験から得たものは大きい。ボランティアは、先ず問題意識を持つ ことから始まる。ボランティアは良いことではなく必要な事と感じて いる。また、ボランティアは奉仕ではなく対等な関係である。 自分は、あげながら貰う事を考えた。つまり、give and take の対等な 人間関係である。

    (6)日本でも最近 NPOが増えてきたが、まだまだ少ない。 米国は100万もあるのに対し、日本はせいぜい1万程度である。

    (7)英国では Child Line というものがあり、24時間子供達からの 電話相談に応じている。英国に実地調査に行き、これを模倣して世田谷にChild Line を作った。 二週間で1,000件以上の相談があった。中には、無言電話もかなり あった。即ち、電話はしたものの言おうとしても言えないケースである。

    (8)基本的には子供が喋るのを待ち、子供が自ら決めるのを待つという対応をする。従って、Child Line は電話の受け手のトレーニングが必要であり、費用自己負担で4ヶ月の研修を行なう。それでも募集に応じてくれる人がいることが嬉しい。

    (9)現在は“Child Line 支援センター”を設立し、日曜、祭日を除き 午後2時から10時まで相談に応じている。世田谷から始まった このChild Line も現在、28の都道府県でやっており、53団体 が活動している。国会議員の中でも超党派で支援議員連盟が出来ており 業界支援も、自転車業界の他、NTT,東京電力、東京ガス等から支援を 受けている。

    (10)英国の場合、個人寄付が60%、企業からの寄付がが30%であるが 日本は税制の関係で個人寄付が少なく資金面ではなかなか大変である。

    (11)ボランティアは生活文化の文化活動であり、ボランティアをやって いると必ず「人間の命」の問題に行き着く。 人間関係は最も手間ひまがかかるが、現在は効率優先でプロセスが 省かれすぎている。友人の倉本 聡氏が富良野に塾を開き、子供達に 農業体験をさせているが非常に良い結果が出ている。 このような次第で、俳優業はかなり疎かになっている。

    (最後に、「無形文化財としての君」という題で子供達へのメッセージを 詩を朗読するように話されたが、メモ出来なかったので省略。)