アフリカの大地を緑に〜ジャカランタの花咲くジンバブエから【第24話】
やめときなはれ
豊作!トウモロコシの山 (ジンバブエ東部にて)
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「発展途上国の困っている人を助けてあげたい。世界のために役立ちたい。」その気持ちは大切にしたい。
私の場合は、大学時代、“砂漠を緑の農地に変える”という夢を持っており、幸いにして、それを実現するチャンスがありました。砂漠化とか乾燥地農業に陽が当たり始めたこともあり、ありがたいことと思っています。
これまで、仕事の関係で、「海外で働きたい」「技術協力の仕事がしたい」という相談を受けることが度々ありました。ジンバブエでも、青年海外協力隊(JOCV)の諸君から、同様の相談を受けました。
「やめときなはれ」が、私の答です。しかし、相談者の大半は、「いや、どうしても」と食いついてきます。
困ったもんです。
まず、日本では国の職員の場合、海外勤務は国の業務の一環ですから、手を挙げれば、海外に出るチャンスはあります。農林水産省の職員でも、開発途上国だけでなく、先進国の日本大使館や国際機関に勤務することもできます。もちろん、私のように、開発途上国の農家のために働くチャンスもあります。
チャオプラヤデルタの堰 (タイ)
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が、海外勤務により、“浦島太郎”になってしまうのです。それと、海外勤務は、ある意味で日本より面白い部分があり、一度海外勤務をすると、「もう一度、海外へ」ということになりがちです。そうなると、ますます“浦島太郎”になって、そのうち、国内の苛烈な業務について行けなくなります。“国内でメシが食えない奴”
それと、国は選べませんから、ジンバブエやネパールのように日本人学校がない国の場合で、子供さんが受験の場合は、当然、単身赴任です。家族には、半年に1回しか会えません。ガマンできますか。
私も、3回目となるジンバブエ行きの場合は、強硬に断ったのですが、ハラレに来ちゃいました。
民間では発展途上国でコンサルタント業務をしている企業がありますが、近年の援助額の削減で、民間でも海外業務は縮小傾向になっています。それに、援助関係業務には、一定の海外経験が必要となっており、各社とも、業務縮小の中、新人を内部で訓練・研修する余裕がなくなっています。企業なら、JOCVの経験だけでは、“即海外”は難しいでしょうね。そう、援助関係の民間企業への就職は難しいですよ、ということです。
かつては、JOCVでの経験を元に、民間企業で海外での実績を積みながら、50歳60歳になっても海外の専門家・専門職として活躍するというパターンもあったのですが、今は、実績を積む機会がないのです。
山あいのからし菜畑 (ネパール中部にて)
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援助機関への就職も簡単ではありません。
特に、国連の機関等では、英語の他に第2外国語(ロシア語、スペイン語、フランス語、中国語、アラビア語)ができないと、ある一定以上の地位・職責に就けないという仕組みがあります。
もちろん、抜群の能力で、英語だけで高い地位に就いておられる方もいますが、最初は日本国政府の後押しや日本の国家公務員として、国際機関で働く機会があったという例が多いのです。
それでも、「どうしても、海外で仕事をしたい」という方もおられます。
道はありますよ。日本の海外NGOに参加する方法ですが、給与水準は年200万円というレベルです。
これを薦めることはできません。当然、「やめときなはれ」ということになります。
Last Update: Oct.3,2008