一年がかりの結婚式 その2

2010年2月28日

教会での式が終わると、アペリティヴ(本来の意味は食前酒)と呼ぶ、酒と軽食を出すパーティに参列者全員を招待します。参加者が移動しやすいように教会の すぐ近くにある小学校の屋根裏部屋(と言ってもかなり広い)を確保した上で、パン屋さんに、人数とこちらの予算に合わせた軽食を作ってもらうように予約し ました。スイスのパン屋さんは結婚式や誕生日などの行事用に軽食を作って出前をしてくれるところが多いです。ケーキやお菓子類は勿論、カナッペ(パンの上 にピクルスやゆで卵のスライス、スモークサーモンなど冷たいお惣菜を載せたもの)も色とりどりで見た目にも美しい、芸術作品のような食べ物が一杯。一番目 立つものは、「驚きパン」。巨大なパンの中身が綺麗に繰り抜かれ、数種類のサンドイッチがぎっしり詰まっています。


▲アペリティヴにて
様々な種類のカナッペはあっという間に無くなりました。

私達は直接印刷屋さんに行って、カードや封筒、文章のレイアウトを選び、結婚式招待状を作りました。招待状発送時に特に気を使うことと言えば、アペリティ ヴのみに招待する客と、アペリティヴ後、レストランでの披露宴にも招待する客とを区別すること。例えば、招待状には「式後、アペリティヴがあります」とあ らかじめ印刷しておき、披露宴招待客だけに「貴方を○○レストランでの披露宴にご招待します」という小さなカードを差し入れたりする方法があります。

結婚祝いについては、日本の慣習通りに考えてはいけないといささか驚きました。スイスでは参列の意思を伝えてきた人々に、「お祝いは何が欲しい」とはっき り伝えても良いからです。私達はあるデパートに行って欲しい物をどんどん選び、専用の棚に保管しておいてもらいました。店の名前を参列者に教えておき、店 員に新郎新婦の名を言えば倉庫に案内して商品を見せてもらえるという段取りにします。贈りたい物を選んで支払いが済めば、後日、私達が品物を取りに行くだ けです。「お店に行き損ねたので」と、披露宴の最中に現金の入った封筒を渡しに来てくれた人もいました。夫のいとこが結婚する時、オーストラリアへの新婚 旅行の資金作りに協力してくれと、「貴方が私達に贈りたいだけのお金をこの銀行口座に振り込んで下さい」という案内を送ってきました。何とも合理的かつ、 率直で裏表の無い伸びやかさを感じませんか?


▲式を控えてのツーショット
州都にあるドレモン城・庭園内にて

日本のホテルでの挙式のようにパックになっている訳ではないので、衣装も花も全て個別注文。私は、挙式にも参列してくれた伯母(母の姉)の手作りで、既に いとこが二人袖を通しているウェディングドレスを日本から持ってきてもらうことになりました。元々は伯母が自分の娘の挙式用に縫ったものですが、レンタル ショップで借りるよりも暖かく心の籠もったドレスだと、細かいレースのフレアなどをつくづく眺めたものです。

披露宴参加者は結局40名ほど。日本側からは父母と伯母、ヨーロッパ旅行中の友人母娘の5名のみ。かなり少人数ですが、心から私達の結婚を祝ってくれる、 ごく親しい人だけに参加していただければ良いと考えました。何と夫は会社の人間を一人も招待しませんでした。夫曰く、「仕事とプライベートは分けていた い」のだそうです。私が住んでいた頃の日本では考えられませんでしたが、現在はどうなのでしょうか?