大連から綏芬河へ

2013年12月9日

 

 

 

 

 

 

 

 

6月は広東省、福建省の客家(ハッカ)を巡るつもりだった。が、ずっと天候状態がよくないのと6月半ばを過ぎると暑くなるので今年は断念して綏芬河~牡丹江~チチハル~満洲里~赤峰~内モンゴルのフフホトまで気ままに列車で旅することにした。

中国の長距離列車は、寝台車4人部屋軟臥つまり上下2段ベッドのエアコン付コンパートメント、向かい合わせの3段ベッド硬臥、4人掛けの軟席、6人掛けの硬席の4種類。PCで検索すると5日先まで軟臥の下段はない。コンピューターの普及でチケットの予約が簡単、便利になり以前の様に行列して買う必要がないのだから楽なものだと思う。5日後の予約をした。チケットは476、5元。

6月17日晴)10:08大連始発綏芬河行き2727次普通快速8号車のコンパートメント下段に乗り込む。

向かい側のベッドの上下段は露西亜人の若い母親と幼女。大連には星海公園、水族館、発見王国など親子連れが楽しめるところが多々ある。楽しかった余韻を風船に見た。列車は定時にホームを滑り出た。どの客車のざわめきもようやく落ち着いた頃、乗務員がチケットの検札に回りだす。寝台車のチケットはいちいちカードと交換で降りる前にまたチケットと交換に来る。母親に「クーニャン」と呼び掛けられびっくりした。(後日わかったことだが、ロシア人は相手の女性はすべてクーニャンと呼びかけ老若は無関係だそうである) 女の子は可愛い指で4歳だという。 普蘭店駅でおばあさんと孫娘が乗ってきて上の段におさまった。聞けば孫ちゃんは3歳になったばかりだそうで幼女たちはしばらくお互い照れながらも気になる様子。大人はといえば、片言英語のわかる露西亜人・方言のきつい中国人。ジェスチャーを交えて食べ物、果物のやり取りなどしつつ何とか交流できて夕飯を一緒に食べた。そうこうするうち夜になり早めに消灯した。

6月18日 カーテンの隙間から太陽が見えて今日もいい天気。 6:20ムーリンという駅に到着。祖母と孫ちゃんが降りた。みんなで手を振って別れを惜しむ。小さな駅だから線路際で乗り降りする。 9:20 23時間54分揺られて終着駅綏芬河に到着。

 

 

 

 

 

 

 

国際列車駅を横目に見て旅行社に飛び込んだ。先客の老夫婦に話しかけられた。“ご一緒にロシアへ行きましょうよ”旅行社の女性が愛想笑いをしながらパンフレットをくれた。が、外国人とわかると態度は一変して“中国公民じゃないとダメ!ヴィザがすぐ出ないよ”と冷たく言い放つ。 2か月もかかるそうだからさっさと諦めてネットで予約しておいたホテルへ向かう。中心広場前店の名に恥じず交通至便。チェックインしてすぐさま辺りをぶらつく。杭州名物小籠包、西安涼皮、羊肉串など様々な屋台が100メートルほど続く。それぞれ声を限りに客を呼び込んでいる。お腹がグーッ。串団子を買い食い。小洒落なケーキ屋見~つけた。ティラミス、苺のショートケーキとカプチーノをテークアウトしてホテルに戻った。さすがにケーキ2個は食べきれず取りおいて出かける

 

 

 

12:00綏芬河の地図を買ってタクシーで国境(国門)へ。20元。曇ってきたので先日買ったばかりの帽子をうっかり忘れてしまったが傘を持ってるからまあいいかと入場券を買う。15元。平日だから閑散としている。なんと「中国」と刻まれた石碑一つ。後ろは金網の柵であちらロシア、こちら中国。旅行案内書に拠ると「中露交易市で賑わう所」とあるのにな~んにもなくて癪だからロシアからの入国管理局やバスから降りて検閲を受ける人々を金網越しに撮った。“おい!”と呼ばれ「しまった。メモリーカードを没収されるかな」と、すたこら逃げた。しかし、別に追ってはこなかった。やれやれ。タクシーを待つが雲行が怪しくなってきた。来るとき見つけておいたバス停まで走った。幸いバスはすぐに来たから降り出した雨にあわずにすんだ。見る見るうちに大粒になり小半時も降り続き大連を髣髴させる濁流があちこちに出現、綏芬河も大連に似て坂道が多いなと思った。

国境の町ゆえか運送業が盛んらしく広い道路の両サイドを運送会社、材木会社が続く。中心広場に着いたら雨が止んでウソみたいに晴れ上がった。駅まで歩いて次の目的地牡丹江行きの切符を買いに行った。硬席しかなかったが4時間ほどの辛抱だからと19日12:54発17:00着の普通快速2728次26、5元を買う。2012年6月10日からダフ屋の横行をなくすために身分証を提示して実名で買わなければならなくなった。

この2728列車は終着駅大連だから乗ってきた2727次を逆に辿る。 ぶらぶらホテルへ戻る道すがら「雪花ビール」の広告がやけに多い。何故ハルビンビールでなくて大連の銘柄「雪花」なんだろなんて考えながら雨上がりで客のいないちっちゃなビヤガーデンに入った。枝豆とビールを頼んだ。ゆで方の下手な枝豆ほどまずいものはない。ビールもすすまず値段の高さにムカッとしながらホテルに戻った。ドリップオンコーヒーとケーキで機嫌を直した。満足う~。単純! ティータイムを晩かったので夕飯が8時過ぎになってしまった。野菜不足にならぬよう野菜たっぷりの鍋を頼むと隣のテーブルから“旅行かい?”と声がかかる。そうだと答えると“一人旅はさびしくないかい?”と再び聞かれる。中国の庶民はみな少々おせっかい気味だが老人にやさしいだけでなく親切で温かい。そして人懐こい。親しみを表現するに憚らない。夫婦、親子は言うに及ばず友達同士で手をつないだり腕を組むのにあまり抵抗はないようだ。なかでも驚きは、男性が女性のバッグを持つこと。大柄な男性が小さなハンドバッグを肩にかけてエスコートしている様に吹き出しそうになったことは一度や二度ではない。重い荷物ならいざしらずちっちゃなバッグを預けるほど「親密で信頼関係にあるのですよ」とはねえ。 飯後百歩走、能活九十九(食後百歩歩けば99歳まで生きられるの意)

ぶらぶら歩いて果物屋へ。さくらんぼ500グラムを買った。旅順の「サクランボ祭り」が昨日の新聞に出ていた。果農が“この冬は厳冬で春の訪れが遅く去年に比べて出来高が大幅に減少し収入は去年の10分の一の1万元。去年は10万元稼いだのにさ”とこぼしていたな。そういえば今年のサクランボは少し高めかなと思いながら中心広場へ戻ると着飾った秧歌(エンゴ=田植え歌)隊5~60人が楽隊と一緒になって演技に余念がない。他に社交ダンス、ジャズダンス、新疆ダンスなどに興じている人々、周りを囲んだ観客もみな幸せそうな顔をしている。吉林、昆明、大連どこでも庶民の楽しみは似たようなもの。9:00PMきっちりお開きになった。