Do not feed Bears

2012年4月28日

ミットとアンはミシガン高校のスィートハートで結婚し、男の子ばかり5人授かって孫はただいま16人。ミットは今年の大統領選の共和党代表になった。家事労働と子育てに専念してきたアンにファーストレディになる資格があるか、と発言した人があると、新聞で読み、ここアメリカでも男女の間接差別?と興味がわきました。
ミットとアンはたまたま私たちと同年代でもあります。
職場や家庭、地域社会や学校で、男女がともに責任をになって協力する方向に向いているようであんがい堂々巡りしているのかもしれません。極端な性別役割分担も破綻をきたしますが、男女の役割の向き不向きもたしかにありますね。

カリフォルニア州は、海岸.中央平野穀倉部.山岳地帯.砂漠をもっています。
サンタバーバラで暮らしていた六年のあいだに(そして今もたまに)車にテントを積んでキャンプに出かけます。テントの下の土のぬくもりを背中に感じながら、カリフォルニアは広いな、4つの区域の違いは大きいな、と肌で感じる良い機会です。
学生だった夫と小学生の娘ふたりと一歳になったばかりの長男を連れてキングスキャニオン国定公園に出かけた夏休みのことでした。
友人の学生家族(ジョーとエドその子ら3人とトムトム)と総勢11人でひとつのキャンプサイトをシェアし、テントをふたつ張りました。トムトムはジョーの弟で蒙古症でした。
「蒙古症って、普通の人の2倍で年を取るのよ」とジョーが言うとおり、トムトムは30歳で髪はもう真っ白でした。精神年齢は反対に幼くて、トラックのおもちゃをつかんでBrrrrr—と迫真の擬製音を出しながら一日中遊んでいました。
肉やコーンを焼いて太陽も落ち、火も落ちたころは、キャンプファイアのまわりで串にさしたマシュマロを溶かします。星がひっきりなしに流れて、こどもたちの祈りも間に合わないほどでした。星はこんなにたくさんあるのかとおどろくほどあります。
食べ物の残りは車のトランクにいれておかないと、テーブルやテントにいれておくと、つまり

Don’t feed Bears

の言いつけを守らないと、くまに襲われるそうです。ほんとうに、キャンプファイアを背に、テントにうつる熊の影や、夜半に熊がゴミ箱の重いふたをガンガン叩く音を、私たちは聞いたことがあります。そのとき、
「熊から家族を守らないと」
fearが夫の心でめざめたそうです。
「困ったな、こどもたちのだれかトイレに行きたくなったら、テントの外でくまに襲われないかしら」
暗闇のなかで私のfearもふくれあがります。
「わたしたちはいつか日本に帰れるかしら?あなたはいつかPhDがもらえるのかしら?」
Do not feed Fears.
不安や悩みや恐れなど、そういったfearにいったんえさを与え始めるとどんどん増長していきますね。
わたしたちに背負えないほどの重荷を与えられることはないのよ、そう言い合ってふたたび眠りにつきます。

サンディエゴ近郊のLa Jolla海岸には、Seal (オットセイ)がのんびりと昼寝を楽しんでいます。