日本から戻ってまだ時差がとれないころに、
久しぶりにトレイルに戻ると、膝までの草が、みんな、僕の背丈を超えている。
かきわけるように歩いていると、
行き先、5メートルにところで長いぷりぷり銭模様が光るタイヤのようなものを見かけた。
一瞬、目を疑ったがやっぱり、大きなガラガラヘビだ。
のんびり道ばたでひなたぼっこをしている。
横にいた妻は、足がすくんでしゃがみ込んでしまった。5分ほどじっとしていると
するすると茂みに入って行った。僕たちはまだ動く気にならず10分ほど待って、
そっと通り抜けた。
しばらく行くと老人2人に会った。一人が「ガラガラヘビを2匹見たよ」と別に驚くこともなく
しゃべっている。私も「こちらも今さっきおおきなものを見たんだ」というと、「茂みの中に
足をいれなければ大丈夫」と言って笑いながら去って行った。
5月は蛇の産卵の時期でよくこのあたりで見かけるらしい。ガラガラヘビトレイルとも言われるが、見たのは初めてである。4月のはじめに咲いていたLupine, Caterpillar phacelia, Blue-eyed grassも
みんな消えてしまって、今は、カラシナの黄色い花が、印象派の点描写の絵のように一面に
広がっている。しばらく前方が見えないほどのカラシナの群生の中を通っているとユーカリ林に出た。ユーカリは、35年前にサンタバーバラに初めて来た頃の懐かしい匂いだ。
ユーカリの実の帽子がいっぱい地面に落ちているのを踏みながら、そこからは、木陰の中で海からの霧のにおう細道を10分ほど歩くと、視界に太平洋が入ってくる。遠くにヨットが1艘浮かんでいる。その先にはカタリーナ島が、くっきりと全体の姿を現している。
来月は、その隣のチャネル島にキャンピングとトレイルに行く予定だ。待ち遠しい。