六稜ニューヨーカー【第1話】
【自己紹介】皆さん、はじめまして。このたび、執筆を担当することになりました田村史子です。6年前に渡米し、現在マンハッタンの南端で生活し、仕事をし ています。皆さんもご存知のとおり、アメリカは多くの人種、文化、価値観が共存する多面的な国です。ここでは、私が日常、目にふれ、耳にしているアメリカ の一面を伝えられれば、と思います。どうぞよろしくお願いします。
【9.11】5周年を迎えるこの日の朝、グラウンドゼロへ行ってきました。かつてはここにツインタワーがありました。
右手には、今年再建されたばかりのワールド・トレード・センター(WTC)7が見え、ワールド・フィナンシャル・センター(WFC)に掲げられた大きな星 条旗が、窓ガラスにきれいに映し出されています。
澄み切った空気と、晴れ渡った青空のもと、Liberty Street から、追悼の鐘の音が聞こえてきました。
報道陣、警察官、通勤者、観光客がたくさん集まるなか、抱き合って泣いている人、亡くなった方の写真を掲げて歩いている人……。鐘の音と音楽をバックグラ ウンドに、犠牲者ひとりひとりの名前が読み上げられました。ふだんは観光地と化している趣が強いのですが、遺族の方が、
同じ北野の同窓生が、5年前このテロに巻き込まれて若い命を落とされたというお話を聞きました。あらためて、ご冥福をお祈りします。 |