タイからサワディクラップ~JICAシニア海外ボランティアだより【第4話】
▲ 配属先のREO8の建物 環境科学者を中心とした36名のスタッフが働いている。 正面2階の部屋が筆者と2名の同僚で使っています |
6月下旬になり、今日22日でタイに来て、早くも9カ月経ちました。
タイでの活動も、残り1年3カ月になりました。
今日までボランティア活動として、タイの廃棄物処理状況を調査して、タイでの廃棄物処理について、改善出来そうなことを纏めており、それを一部紹介しま す。
職種である廃棄物管理支援の2年間の活動計画について昨年12月より8名のWorking Group (以下W/G) をREO8(Regional Environmental Office 8 : 配属先の天然資源環境省のラチャプリにある地域環境事務所)内に作って頂き、活動しています。
W/Gは毎週1回集まり、主にタイでの廃棄物処理状況の調査をしてきました。
活動として主に、次の5項目を進めてきました。
1.廃棄物処分場の調査、改善
処分場の廃棄物には、レジ袋等のプラスチックが多く、その他生ゴミ、紙、木質ゴミ等が混在している。
また処分場からの場外に流れ出る浸出水も一部あり、この浸出水、地下水等の成分を分析して、環境に与える影響を評価します。
▲現状のタイの廃棄物処分場 |
▲処分場の浸出水 |
▲REO8で、Compost種菌を育成中 |
2.廃棄物の減量化
有機系廃棄物が約50%を占めており、有機系廃棄物をCompostにより堆肥化するのが、処分場に運ばれてくる廃棄物の減量化に有効と考えられる。
3月より、W/Gが中心になって、REO8内の官舎で、Compost種菌を作って、家庭からの有機系ゴミから堆肥を作るコンポストを開始した。
3.廃棄物の分別、選別
日本では、多くの都市で家庭からのごみをプラスチックと有機系ごみを分別して収集しているが、タイでは大部分の都市でプラスチックと有機系ごみを一緒に収 集している。
その後、有機系ゴミを機械で選別して、Compostする方法がチェンマイで実施中。
4.廃棄物のガス化
廃棄物の内、特にプラスチックをガス化して、燃料として再生するプロセス及び装置を、タイで民間各社が開発及び技術導入中。
▲チェンマイの朝の山々 |
5.大気汚染の改善
バンコック、チェンマイでは、車からのPM(Particulate Matter:粒子状物質)の排出が多く、大都市で大気汚染が進行している。
チェンマイは、特に山に囲まれた盆地で、大気が滞留しやすく、大気汚染度が高い。
以上の通り、調査するべき項目は抽出できましたが、W/G員の出張費、機材購入費等の活動費が、2009年度REO8の当初予算に無く、今年度の予算は厳 しくて、捻出できないことが分かりました。
浸出水、地下水及び処理水中の重金属が、環境に及ぼす影響を精度よく把握する為に、水分析精度の改善に純水装置の購入を、2009年度のJICA携行機材 費で申請しました。
また、4月からJICA現地業務費で、調査用の資材を購入して活動を進めています。
4月にGGP(Grant Assistance for Grassroots Human Security Projects: ODAの一環の草の根事業)の設備購入の応募がタイ日本大使館で有ったので、自治体に上記5項目の内、調査が進んでいる1と2を説明しました。
その後、自治体より日本大使館にGGPを申請しました。
このGGPを中心とした2010年9月までの活動計画に付き、所員の全体会議で5月に説明しました。
会議で処分場の活動については、モニタリング課と、コンポストについては、計画課と共同でGGPとして進めることに、所長の指示でなりました。
具体的には、
1. A市は、処分場改善につきGGP予算を申請中で、REO8、特に、W/Gは市に協力してGGPを進めます。
改善方法は、埼玉県で実施されているPRB (Permeable Reactive Barrier : 浸透性反応防壁)を、埼玉県及び国環研の協力を得て取り組んでいます。GGPが認許されれば、年明けに工事を実施、工事終了後、性能 試験を実施する予定です。
また性能試験結果を評価して、今後の基準を作成出来ればと思っています。
2. ごみ減量化調査で、タイは処分場に投入されるごみ及び家庭ごみの約50%が、有機系ごみであるため、各家庭、市場、学校、ホテル、レストランからの有機系 ごみを、分別収集して、Compostにより、堆肥化するのが有効であると考えています。
そこで、減量化としてCompostを選定して、B市に説明したところ、B市がGGPを日本大使館に、申請いたしました。 REO8内で、実施中のCompostを、北九州市及びバンコックの協力を得て、実施予定です。
認許が得られた場合、10月以降に工事を行い、引き続き試運転を行います。
その後、堆肥を野菜等の肥料に使い、品質と安全性を確認する予定です。
当面は、設計データのレビューと地元での有機系ごみの分別収集活動を行なっています。