ウクライナ/クリミアのリゾート地Yarta

2009年10月18日

モスクワ駐在員のつぶやき~ロシアCISあれやこれや【第5話】
2008年2月当時の話です


▲Yrataの海岸通り

当月代理店の16周年記念式典で訪問したウクライナ・クリミア半島南端に位置するYartaは、第二次世界大戦後の体制を連合国軍側が取り決めたヤルタ会 談にて我々日本人も名前自体は知るところとなっているが、どのような場所かはあまりイメージできない人がほとんどではないかと思う。
古くはギリシャ時代から地中海からボスフォラス海峡を経て黒海に入る交易ルート拠点のひとつで、商業・国家戦略上の要所として栄えた町。気候は温暖で地中 海沿岸と同じと感じられる。


▲ヤルタ会談開催された
ニコライII夏宮殿

ロシア帝国時代は皇族/貴族の保養地、ソ連時代は共産党高級幹部のリゾート・別荘地として重用されてきている由緒あるリゾート地である。丁度地中海南仏 ニースやカンヌの町をもう少し田舎臭くしたような感じではあるが、小洒落た港町があり、プール付のリゾートホテル(残念ながら4星が最上級)、カジノ、レ ストラン、ナイトクラブと一応リゾート必須アイテムは全て揃っており、ロシア人でさえ絶賛するウクライナ美人がその雰囲気をGrade Upしている。


▲マサンドラワイン醸造所

特筆はこの地に温暖な気候を利用して昔から栄えたワイン作りである。ここには世界有数の高品質希少ワインを生産するマサンドラ醸造所がある。同醸造所はロ シア帝国時代には歴代皇帝がその財力に物を言わせて世界中から集めたビンテージワインの膨大なCollectionがある。岸壁くりぬいて作ったいくつも の横穴式ワインセラー(ひとつが奥行き150m)の一つにそのCollectionは眠り、世界最大のCollectionとしてギネス認定も受けてい る。中に入ってみたが最古のものは1850年代のフランスワインまであった。昨年もこれら最古参のワインを専門家が試飲調査したが、後50年は品質落ちる ことなく生き続けるであろうとの事で、如何に保管常態が素晴らしいかがわかる。


▲ギネス登録ビンテージワイン
Collection

ここのビンテージCollectionを守るためナチ侵攻時はウラルまでCollection一式を疎開させ、終戦後持ち帰ったという。ちなみ同醸造所で 生産する極上のスイートワインは自分の生まれた年代のビンテージワインも併設の特売場で買えるが驚くほど安い。自身の生年(1957年)のものを買ったが 日本円で1万円ほどであった。本格的なリゾートとしてはまだまだこれから発展してゆくのであろうが、ここ数年で急激に増えたロシアのNew Rich層があちこちで最低でも1億以上する高級別荘を建設している。歴代ロシア大統領も皆ここに別荘を持っている。最近は高層高級リゾートマンション建 設も始まったようで、海岸沿いには大型クレーンがいくつも見られた。西側資本が目をつけて開発進むのは意外と早いかもしれない。