1998年4月7日〜5月17日
9:30〜17:00(入場は16:30まで)
月曜と5/6は休館。ただし5/4(月)は開館。
大阪市立美術館(天王寺公園内)
reporter:石田雅明(73期)、岸田知子(78期)、谷 卓司(98期)
佐伯本人は大阪の絵をほとんど描いてないのですが、大阪が産んだ画家であること。それとこの4月28日が誕生日なんですね。それで二重の意味で巡回展のスタートをこの大阪の地で、春先にスタートしようというふうに企画したワケなんです。おかげさまで、平日でおよそ1,000人あまり、土日祝日で2,000〜3,000人の方々にご来館いただき、好評をいただいています。
今回の作品は1917年から1928年までに描かれたものなんですが、実際に主として描かれたのは1924年から1928年のたった4年足らずなんですね。中でも、パリにいた時代、実際パリで絵を描いていた時代というのは2年くらいではないかと思います。その中でこれだけ優れた作品を残した…中には1日に2枚も3枚も描いた日もあったと言われていますし…この多作にも天才の一端が証明されていると思います。
昭和58年に山本発次郎コレクションから佐伯の作品を40点ほど寄贈いただいたのが、大阪市立近代美術館の建設への契機にもなりました。その後、寄贈いただいたり購入したりで現在49点の作品を所蔵しています。
なかなか…お持ちになっている方は手放さないのと、非常に高額でもありますので、あまり売買はされません。また、わが国ではオークションといったオープンになる仕組みがありませんので、ほとんど表面には出て参りません。
おそらく将来、実際に近代美術館が開館するまでは、これだけの数の作品をまとまって見れる機会はもう無いのではないかと思います。非常に珍しい機会ですので、是非、たくさんの方々に見て貰いたいと思っています。
佐伯の国際的な評価ですが…晩年にはパリで画商もつきかけたようですが、何しろ早く亡くなったのと、遺作を奥さんがすべて日本に持ち帰ったのとで、パリの画壇では忘れ去られている…というのが現実のようです。知名度としては殆どないと言っても過言ではないと思いますが、作品を目にした美術関係者がかなり高い評価をされているのを何度か耳にしたことがありますので、全面的に紹介すればきっと評価されるであろうと思います。機会があればそういう企画もして参りたいと思っています。