高木和弘ヴァイオリンリサイタル2004 on サントリーホール(東京) reporter:西尾大次郎(66期)
最後の曲目「バール・シェム」を演奏する前の彼の話し振りが、まさしく大阪弁丸出しでした。「1曲目から3曲目まではエゲツナイ曲で、(腕を回しながら)パワーフルでした。……次のはロマン派の曲で……」この「エゲツナイ」は、「演奏するほうも、そして聴くほうも大変重くて、しんどい」という意味合いがこもっていたようでした。従って、「ロマン派の曲を気楽に聴いてください」と付け加えたのでしょう。いずれにしても、都心での演奏会で、演奏者が「大阪弁」で挨拶と解説をすることは今まで全くなかったので、「大阪弁」が口から出始めた瞬間、本当に驚きました。が、直ぐに、自分もそして聴衆者の多くの方々が関西出身者であろうと思うと、ホットして、エゲツナイ曲の連続による緊張感がほぐれました。 演奏者は「エゲツナイ」曲と評していた3曲のうちの第1曲「ヴァイオリンとピアノのためのパンペアーナ第1番」は、作曲者がアルゼンチン人で、「農業国アルゼンチンの草原に吹き渡る風が感じられる」(解説文)ようなすばらしい演奏で、リラックスして聴くことができました。もう一度聴いてみたい曲です。 高木氏が弾いていた「ヴァイオリン」は? 私は基本的にオンチで、名曲の鑑賞能力は全くの低レベルなのですが、ヴァイオリンの製作者には前前から多少興味を持っています。 30〜40年前のことですが、関西の名ヴァイオリニスト・辻久子氏が、欲しくてたまらなかった「ストラディヴァリウス」を自分の家を売って買い求めた話は有名です。その愛器によるリサイタルが毎日ホール?で開催され、これが「ストラディ」かと感動して熱心に聴き入っていました。昨年6月19日、フィンランドの23歳の新鋭ヴァイオリニスト、ピエタリ・インキネンが武蔵野市民文化会館でのリサイタルで弾いたのも1702年のストラディヴァリウス(オコバンク芸術財団の貸与)でした。非常に良い音色でした。ところで、先日同期のポン友から聞いたのですが、私の級友(あだなが)「ヴァイオリン」が高校時代に弾いていたのが「ストラディヴァリウス」であったとのこと。 50年以上前のことで定かな記憶はありませんが、「同君がスゴイ楽器を持っている」との噂があったようにも想起されます。改めて、驚く次第です。 Last Update: Nov.24,2004 |