高木和弘ヴァイオリンリサイタル2004 on いずみホール(大阪) reporter:河渕清子(64期)
甘く温かな中にきらっと光るものを感じさせる彼の音色は今回でも益々冴え、苦悩・喜びを若さ溢れた表現力と技巧で21世紀のヴァイオリン音楽の可能性を伝えてくれた。特にバルト−クのソナタ第1番第3楽章Allegroでのピアノ伴奏との熱演は、知性の中に激しい情熱が滾(たぎ)っているようで、彼の豊かな音楽性に触れる思いがした。 終曲のブロッホの組曲「バ−ル・シェム」の演奏に入る前に「この曲を震災に遭われた方々へ捧げたいと思います」の高木氏の端正な声が場内に流れた後、ロマン派の香りが漂うメロディが静かに弦に乗りそして明るく力強いコ−ダで終った。 万雷の拍手に迎えられ幾度もステ−ジに現れた高木スマイルは爽やか。アンコ−ルは優美な「ロマンス」で終演。 「世界のヴァイオリニスト高木和弘」も、もう夢ではないだろう。 【高木和弘さんプロフィール】 1972年、大阪に生まれる。6歳よりヴァイオリンを始める。中学校、高等学校在学中に、日本国内の数々のコンクールに優勝、入賞を果たし、1989年、大阪府立北野高等学校より文化活動振興賞を受賞。1991年、同校卒業後、第2回京都フランス音楽アカデミーにてP.ドウカン氏に師事。その後渡仏し、フランス国立リヨン高等音楽院に首席入学。森悠子氏、エドワード・ウルフソン氏に師事し、研鑽を積んだ。同校ヴァイオリン部門を首席卒業後、渡米。南メソディスト大学においてエドワード・シュミーダ氏の薫陶を受ける。2000年9月からは文化庁派遣芸術家在外研修員として、シカゴ芸術大学において森悠子氏に師事。日本においてはソリストとして活動する傍ら、室内楽及びオーケストラの演奏においても意欲を燃やし、また海外でもアメリカ及びヨーロッパ各地においてコンサート活動を展開、好評を博している。また、1997年度エリザベート王妃国際音楽コンクール入賞、1998年第54回ジュネーブ国際音楽コンクールヴァイオリン部門第3位入賞(第1位なし)の実績を持つ。更には、オペラハウス管弦楽団(大阪)、広島交響楽団、京都フィルハーモニー室内合奏団等数多くのオーケストラにおいてゲスト・コンサートマスターを務めるなど、多彩な演奏活動を展開している。2001-2002年度、シカゴ・シヴィック・オーケストラのコンサートマスターに就任、現在に至っている。 Last Update: Nov.15,2004 |