校舎改築基本設計決まる
このたび、基本設計報告書が大阪府建築営繕部ならびに高橋上田設計事務所から公表され、建築計画が明らかになった。この設計案成立には建築家竹山聖さん(85期)と高橋上田事務所の高橋清文さん(72期)大谷明徳さん(78期)の多大なご尽力を得た。また、あくまで基準通りの建築を行なおうとする府に対して、北野らしい斬新な設計案を主張し実現にこぎつけたのには、足立前校長と現在の山崎校長を始めとする北野高校全日制・定時制の教職員の団結、府に陳情を行なった稲畑会長以下の同窓会諸氏の熱意が効を奏したにほかならない。
昨年の総会卓話で竹山氏が述べたように、「平成の名学校建築」として、また21世紀にふさわしい学校建築として、全国に誇り得るものになるであろう新校舎を紹介しよう。
なお、大阪府の財政上の都合により、平成8年度に実施設計が決定され、着工は平成9年となる。おおよその工事工程計画は次の通り。
同窓会館(資料館)建設に同窓会の総力を
駅前再開発工事中の十三駅前を通り過ぎて北野高校校門に。かつては通用門ないしは裏門と呼ばれ、「君等はみな裏口入学だ」とからかいのタネになった市道淀川北岸線に面したこの門が「正門」に昇格。入るとすぐ左手に資料館兼同窓会館。その先の車まわしに面して図書館と玄関がある。図書館・同窓会館と校壁の間にある「読書の森」が緑陰を作っていて、壁一つ向こうの騒音がウソのよう。
昔ながらのケヤキ並木のアプローチを進むと、右にはプール、左には曲面の壁のモダンな建物。これが多目的ホールというもの。このホールの入口はと捜すと、なんと懐かしいあの楠の大木。ここは「くすのきの広場」というのだそうで、教室二階に通じるスロープもここから昇る。くすのきの奥に中庭があって職員室や特別教室はこの周囲に配置されている。
ケヤキ並木を通っていると、つきあたりの東西に長く伸びた校舎の一階ピロティ(ふきさらしの柱だけの空間)の向こうにグラウンドでボールを追う生徒の姿が見える。このピロティが、夏の日には格好の休憩場所となり、雨の日にはちょっとしたトレーニングの場所にもなり、試合の時には応援席になるだろう。グラウンドからピロティを通って体育館に通じるあたり、「スポーツのテラス」というのだそうだ。ユニフォーム姿が大勢行き来する。スポーツがますます盛んになりそうだ。
校舎の西の端から体育館に行く階段がある。この階段の側壁こそ、旧校舎の西端をそのまま残したもので、そこには第二次大戦時の爆撃の弾痕があるため、メモリアル・ウォールとして後世に残すことになったのである。タイルの色、肌触り、ここに60年以上も建っていたあの威風堂々たる校舎を知るてがかりがこうして残っていることはうれしいことだ。
まだまだ見残したところは多い。それだけ見どころの多い建物なのだ。