六稜会報Online No.28(1994.9.20)


    六稜同窓会だより
    インターハイ3位に入賞して〜山岳部

    六稜山岳部
    野々目延浩(3年)

       登山というものは、本来、競い合うものではない。競技登山というものは、本来の登山とは異質のものであるが、ある程度自分達の評価を客観的に見ることが本来の登山の発展に関係するものではないかと思う。ここに我々のインターハイ3位までの軌跡を書いていきたいと思う。

       今年のインターハイは富山県で開催された。登山競技は北アルプス大日・立山連峰で行なわれた。今大会で印象に残っていることは何といっても「芸」であろう。

       「芸」というのは選手どうしの交流を深めるスタンツのことであり、あいにくの雨で2日目にする予定が3日目にずれた。毎年各校1校ずつで「芸」をすることになっており、6班では北野高校の「芸」が一番うけた。広島学院高校の「芸」もけっこううけていて、この2校で6班をわかせていたと思う。

       「3位、大阪府立北野高等学校」と言われた時、我々はただ茫然としていただけだった。同じ大阪府で出場している箕面高校の女の子達が叫んだので、それからやっと実感がわいてきて我々は思わず歓声を上げてしまった。我々はこのインターハイに出場するために、すなわち府大会で優勝するために昨年12月から大会対策を取ってきた。インターハイの具体的内容等については2年上のインターハイを経験された先輩方にいろいろと教わり、その影響もあって入賞することができたのだと思う。

       次に具体的な大会内容について書いていきたいと思う。
       参加条件は、一般的に各都道府県で優勝したチーム、男子1チーム(A隊)、女子1チーム(B隊)、そして隔年毎に2位のチームで男子のみ(C隊)である。我々は府大会で優勝したのでA隊として出場した。A隊のコースは、天狗平→雷鳥沢→一ノ越→立山(雄山:3003m)→五色ケ原→黒部湖→室堂だった。審査は、体力、歩行、装備、設営・撤収、炊事、気象、自然観察、計画記録、救急、マナー等の審査項目に分かれており、その項目すべてを総合して100点で、上位から並べるといった方式である。

       では、具体的な審査項目について説明しておこうと思う。

        (1)体力…リズム、チーム内外間の適度な間隔等によって採点。
        (2)歩行…歩行バランス、歩幅、スリップ、パッキングのバランス等によって採点。
        (3)装備…個人及び共同携行品の所持とその数量と使用性によって採点。
        (4)設営・撤収…10分以内に設営し、その動作に手慣れているか等によって採点。
        (5)炊事…夕食時に石油コンロを使用すること、防風対策、燃料の量等について採点。
        (6)気象…天気図の完成から予報までを40分以内にし、その正確さ等について採点。
        (7)自然観察…ペーパーテストと地形図の読図によって採点。
        (8)計画・記録…計画書と記録帳及びその内容について採点。
        (9)救急…ペーパーテストと医薬品の所持について採点。
        (10)マナー…リーダーの指示の適切さ、チームワーク等について採点。

      上記の様な審査内容で採点される。

       登山競技の場合、競技を意識し過ぎないことが上位入賞の鍵だと思う。しかし練習の段階で何もしないということではない。3年前のインターハイ静岡大会の時、ある先生は「競技登山は始まる前にその80%は終わっている」と言っておられたそうだ。つまり、順位の80%は、平地でどれだけ計画し、練習し、絶ゆまぬ努力を続けてきたかで決まるのである。我々は順位の事など考えず、平地でできるだけの事はやって、山の中ではできるだけ自然と親しもうと思ってきた。この様な本来登山に求められていることを自然な形で出しきったおかげか我々の首に銅メダルがかかることとなったのである。

       最後に、今回インターハイに付き添って下さった先生方、適切な助言をいただいたOBの方々、援助金でお世話になった同窓会の皆様、本当にどうもありがとうございました。これからの六稜山岳部の発展を祈り終わりにしたいと思います。


    原典●『六稜會報』No.28 p.19