山崎浩和
名誉会長・学校長
【やまざき・ひろかず】昭和11年、和歌山県御坊市に生まれる。昭和30年3月、県立日高高校卒業。同34年、広島大学文学部史学科西洋史学専攻卒業。同年4月から府立春日丘高校教諭。同39年3月京都大学大学院修了(西洋史学専攻)。同年4月から府立住吉高校教諭、府立豊中高校教諭。同57年4月大阪府科学教育センター指導主事、同61年大阪府教育委員会指導第一課指導主事。同62年4月から、府立春日丘高校教頭、府立東住吉高校教頭を経て、平成4年4月府立高槻南高校長。本年4月本校校長として着任。専門教科は社会科(世界史)。
北野高校120年の輝かしい歴史と揺るぎない伝統に思いを致しますとき、本校校長に就任いたしましたことはまことに光栄でありますとともに、その責任の重さに身のひきしまる思いをいたしております。この上は、本校の不滅の伝統を守るとともに、新しい時代の要請に応えてより一層の発展を図るべく誠心誠意全力を傾けてまいりたく存じます。何とぞ皆様方の温かいご指導御支援をお願い申し上げる次第でございます。
着任早々、肥塚教頭の案内で校内を一巡いたしました。8万余の貴重な書籍・文献を擁する図書館、威容を誇る講堂をはじめ、体育館、各階の教室、殉難乃碑の立つ運動場等、皆様方がかつて多感な青春の日々を過ごされたこの学び舎で、今年も1400余名の生徒諸君は、先輩の後に続くべく真摯で溌刺とした高校生活を送っております。
ご承知のとおり、今日、地球環境の保全や社会福祉の充実等、人類的課題が山積しております一方、高校教育においても、生徒数の急減期の真只中にあって教育の質的向上や個性化が一層求められております。また、国際化情報化等の社会の変化に主体的に対応できる能力の育成が主要な教育課題となってまいりました。
こうした状況の中で、とりわけ北野高校の使命が国家及び社会のすぐれて有為な人材の育成にあることを思うとき、好学の気風を一層高め、高度な教育を受けるにふさわしい学力を十分身につけさせなければならないと考えます。そのため二学期制を本年度から導入して授業時数の確保と授業内容の充実に努めております。そして勉学とは、真理を学ぶことであり、真に学び知性を磨くことは、人間としての徳を養うことに通じるものと思います。真の学習を通して、しっかりしたモラルバックボーンと高貴な精神をもつ人物の育成に努めなければならないと思考いたします。
懸案の校舎改築問題は、全面改築が確定して基本設計の段階にあります。学校といたしましては、21世紀の教育環境にふさわしい、機能的でしかも美観に優れた校舎の実現を願いつつ、各方面のご意見を十分に拝聴しながら慎重に進めてまいりたいと考えております。
また、アメリカのケントウッド高校との交流を通じての国際理解教育についても、本校生徒が国際化時代にふさわしい国際感覚を身につけ異文化理解が深められるよう適切に進めたく思います。私は前任校において海外姉妹校提携による国際理解教育に努めたささやかな経験がありますが、本校の実情に即した国際交流のあり方を模索しながら着実に推進すべきだと存じます。
終わりになりましたが、六稜同窓会のますますの発展と会員の皆様方の御活躍を心から祈念いたしまして新任の御挨拶といたします。
(平成6年4月17日)