長い六稜同窓会の行事にも今までみられなかったマルチメディアによる歴史回顧が登場した。
仕掛人および製作者は谷卓司氏(98期)。120周年事業のアイデア募集の呼びかけに応募して採用されたもの。
フェスティバルの大画面を三面に仕切って、多角的に写し出される北野120年の歴史は聴衆を魅了した。
1年間にわたる取材製作には総合プロデューサーの西村一男氏(60期)、康浩郎氏(68期)をはじめとする六稜人のサポートがあったものの、その完成までには筆舌につくせぬ苦労もあった。中でも会員の中に眠っている資料の堀りおこしは充分とは言えない。しかしそれでもこの作業の中での500枚にのぼる映像ベースは貴重なものとして引継がれていく。
マルチメディアの時代に向って、六稜同窓会に大きな一石を投じた企画だった。
欧学校設立府令の文字が飛び込んでくる。そして現在の北野高校などの空からの風景が映し出されるファーストシーン。タイトルの「わが北野120年の風景」の文字が、重厚にせまってくるのだ。
北野の1年間と120年が、同時に進行する。クラブ活動や体育大会の映像は、OBにとって現役時代の残像と重ね合う。現役の諸君らは、映し出される自分たちの姿に、恥ずかしそうにするもの、「ああ、映ってる」などと歓声を上げるもの、といろいろだ。だが、映像が映し出す光景は、いかなる名文も、長文も及びつかない感動を呼び起こした。
わずか、23分13秒のドラマだが、オール北野の心を打つ。
製作者の谷氏は「ヘリコプターの空撮まで出来てよかった。納得のできる仕事だった。」と感慨深げだ。
120年史を飾るこの映像、北野の歴史だけでなく、日本の教育史にとっても価値のあるもので、ぜひ残したいものだ。