まえ 初めに戻る つぎ われら六稜人【第45回】「養生こそ至上の処方なり」
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    第7診察室
    エコホリスティック




      「エコホリスティック医学」というのは、僕の造語です。ホリスティックいうのはあるんですよ。ホリスティック医学いうのはアメリカで始まって、ホールから来てるんです。ホーリスティックですね。ホール、全体ですね。全体とか広間とかいうホールです。それからホリン。聖なる。かかってるんです。聖なるいうのにかかってるのは僕はちょっと合わないです。ちょっとこう神秘主義いきますからね。だからホールで全体的医学、全人的医学とか日本語に訳したりするんですけど、ぴったりがないですね。ホリスティックなってるんですけど。それにエコ付けたんは僕が勝手に付けた造語です。

      最近の医者はものすごく専門化していて、身体全体を診ずに、例えば肝臓やったら肝臓しかよう診いへんと。肝臓以外のことは、わからんへんから肝臓だけ治そうとすると。肝臓が悪い理由は、もっと人間の身体全体にあるかもしれないのに。
      専門も細かく難しくなってきていますからね。専門家もいるんです。そういう専門家に対して、我々みたいな医者もいることはいるんです。ところがね、日本ではね、今んとこ専門医と我々みたいな一般医とかとは、経済的に差別されることはないんです。ところがアメリカはね、専門医いうたらごっつ高給なんですよ。でみんな専門医になりたがるいうような傾向がアメリカはあるんですね。日本はアメリカを見習いますからねぇ。あらゆることで見習いますからね。専門医を目指して皆いって。ちょうど僕らの頃からですよ。僕らの頃だったかな、ベンケーシー。脳外科医でしたかなぁ。あんなんがアメリカから入ってきたドラマでありましたよね。それで結局脳外科とか心臓外科とかね、ああいうのがブームやったんです。みなそいうのになりたかったですよ。それは今でも続いてますよね。そういう傾向はね。だから両方いるんですよね。両方を1人の医者に求めるのは無理なんですね。僕はそうですけど、全体は診れるけど細かいことわからんいう医者も、困るんですね。そやから両方いるんですよ。

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      ホリスティック医学いうのは、もっと広くなんです。結局ね、身体だけやなしに、精神的なことも含めて、ということなんですよ。精神的なことも含めていうことで心身医学いうのもあったりするんですけどね。心と体と書いて心身医学ですね。あるんですけどね。そういう身体の病気を単に身体の病気として診ずに、精神的にも心の方にも問題があって、見ようやないかっていう、トータルに患者をとらえようということですね。
      と同時に、そこに人間の霊性とかね、魂とかね、そんな言葉が入ってきます。確かにそういうのはないとは言い切れんのかもしれんですけどね。そういうことも含めて診療しよう、いうふうなってきた。僕はそれに対して、そこまで行ったらいかん。逆に、心と体をトータルに診ないかんと。同時に、個人と環境との関係で病気を診ないかんと。
      人間関係も環境だと。どういう食生活してるかいうのも環境だと、ある意味で言うとね。そういうこと含めてですね、会社のこと、地域のこと、そういう環境含めて人間をトータルに診ないと。だからエコホリスティックだという。ざっと言えば僕の提案なんです。

      だから、今まではね、医学いうのは我々の身体の中ばっかり研究してきたんですね。肝臓の細胞やとかね。細胞の中の遺伝子や、というようなとこいってるわけですよ。どんどん中へ中へ行ってるわけですね。心と体いうても、やっぱり我々の中の心、我々の中言うてるわけですね。だけど人間いうのは1人で生きてるわけじゃなくて、常に外と関わって家庭を持ち、職場を持ちですね、いろいろ関わって生きてるわけです。そういう関係の中で病気が起こってくるわけだからね。これからは我々の身体の外と病気のことを研究すべきやと。
      そうそう、僕は、ホリスティック医学の人たちの中には現代医学を否定する先生多いんですよ。僕は違う、現代医学が正しいと思ってる。ただ、現代医学にもいろいろ間違いがあれば問題もある。あるのはあるけども現代医学、科学的な現代医学を基礎にした養生を言うてるのだと。だから食事だってね、現代栄養学は僕にとっては非常に大事なんだと。現代栄養学を否定して、玄米には命が、生命が宿ってる・・・(笑)
      いろんなおるんですよ。それはあかんと。玄米がいかに栄養学的にいいかということこそ言うべきであって、そういう非科学的なこと言い出すと無茶苦茶になると。それは確かに僕は強調してるんです。



    つぎ Update : Aug.23,2001