資質の問題で辞める人はいますが、数は多くないです。入学試験に適性試験がありますから。それに保安大で管制官としての適性に磨きをかけられます。適性試験では簡単な地図に飛行機が5、6機書いてあって、それぞれに名前、高度、速度が書いてありました。これを5分間記憶させて10分間休んでそのあと設問に答えるといった様なものでした。
大先輩の管制官が言うには、早口で服装がラフな人がいいらしいです。早口に超したことはないんですよね。あと、声が大きい人。小声でゆっくり喋る人は向いてないですね。あえて言えば、先読みの能力です。どんどん先読んでいかないと、人間って指示出せないですよ。こうなると予想するからこうするんであって、いきなり言われてすぐには出来ないです。出たとこ勝負でやってたら出来ないですよね。
頭の中に記憶できて、先が読めてという能力がかなり要るんですけど、ただ自分の技量を過信しては駄目です。俺は絶対ぶつけないと思ってみんな同じ高度に降ろしちゃったりですね。慎重な人だったらこちらは3千フィートあちらは4千と振り分けるんですけど、人間ってパーフェクトじゃ無いですから。絶対忘れますからね。コーディネーターがちゃんと横で見てますから、いざとなれば横から手が飛んできます。
訓練が終わったというのは、なんとかぶつけずに出来ますよっていう段階なんです。だから本当にうまくなるのはこれからです。たとえば無駄な指示を減らしたり、それが飛行機の燃料軽減や乗客の乗り心地にも繋がってきますしね。非常事態が発生した場合でも、落ち着いて的確な処置を出来るようにしたいと思います。レーダーの上では飛行機は点ですけど、何百人も乗ってますからね、人命を預かるものとして一生懸命やりたいですね。
航空機の発着を管理する”ストリップ” |
人によるんですけど、管制官のピークは30代半ばだといわれています。年がいくと視力が落ちてきたり判断力が鈍ってきたりしますからね。中には長く定年間近までやられる方もいらっしゃいますよ。ただし業務を限定しているようです。
多くの場合は現場を離れたて管理職になったり、他の機関たとえば国際民間航空機関(ICAO)で働いたりします。
昨年、航空管制官を装ったいたずら無線で、飛行中のジャンボ機にウソの指示を出した事件がありましたけど、これは困りますよ。
犯人の人ていうのは、事の重大さがわかってないんです。いたずら半分でやったんでしょうけど、この時だって乗客が500人近く乗っているのに、もし落ちたりしたら500人殺して、それを背負って、その後の人生まともに送れるのかどうか、すごい悲劇に繋がる事を考えて欲しいですね。
それと心配しているのは、こういう事が大きく報道されるという事です。模倣犯がでなけりゃいいんですけど。
現役の後輩達に
何百人の命を預かっている飛行機を、自分の声一つで安全に飛ばすっていう責任は重いけど、すごくやりがいのある仕事です。興味ある人は是非目指してみてください。
多分みんな知らないんですよ。とりあえず一流大学いきましょう、という感じになるんでしようけど。
高校時代は余裕が無いですから絶対視野が狭くなってます。本当に自分がそこ目指していいのかって、みんな解かって中々入れないですよね。
現役で落ちた時は本当にどうしようかと思いましたけど、浪人した一年は無駄じゃなかったです。北野の枠から外れて初めて、広い目で大学を選べるようになりました。そういう雰囲気が進路指導にあればなぁと思います。
URL:http://www.age.ne.jp/x/yamane/atc/index.htm