ヒマラヤの山岳地帯に住む子どもたちと |
Winnie Law
(大阪府立北野高等学校AET講師)
私がデリーに着いた日すぐに、その目新しい光景と臭いに圧倒されました。帰国する人々がほんのわずかの期間しかデリーにいなかったのに、インドに対してよい印象を持っていない訳がわかりました。デリーの町は原付自転車(大量の排気ガスを出している)であふれていて、通りはごった返し, ひどい運転の原付自転車にぶつからないように絶えず気をつけていなければなりません。商店街や市場では現地の人が買う値段よりも高いものを店屋の人たちは際限なく売りつけようとしています。旅行者たちが集まっている場所では、人々はツアーを売りつけようと自称「政府公認の旅行社」へ行くようにしつこくせまってきます。
私は自分がその時デリーの町にうんざりして、2度と来るものかと思っていたことを認めなければなりません。しかし、この旅行が終わる頃帰りの飛行機に乗るためにデリーに戻って来ると、驚いたことに、私は気楽な気分になりデリーでの最後の2日を楽しんでいたのです!デリーの町がこの3週間で変わったはずがないことはわかっていました。もちろん、この私が変わったのです。インドに対して悪い印象を持って帰る人もいるというのは、インドを十分に正しく理解し、様々なインドの生活様式に慣れるほど長くインドに滞在していなかったからではないかと思いが心の中に浮かびました。自分でも認めたとおり最初の数日は、日本の礼儀正しさと効率の良さが懐かしいほどでした。しかし、時間が経つにつれて、大雑把で直接的なインドの人たちの性質に、とりわけ銀行や郵便局でのとても時間がかかる(ゆとりのあるというべきでしょうか)サービスに、自分を合わせるようになっていました。
インドに行く前に、騙されないようにしなさいと忠告を受けていました。もちろん大都市ではいつでもお金をだまそうとする人はいるものです。これは万国共通の現象ではないでしょうか。一旦インドの郊外に行くと、本当のインドを体験する機会を持つことができました。私たちが行った場所が変わるごとに、景色だけではなく方言も衣服も食べ物も全く違っていることにはとても驚きました。私が一番良かったのはヒマラヤの山々をトレッキングしたことです。すばらしい景色に加えて、山岳地方に住む人々はとても友好的でした。
インドにかなり長い間いたので、だんだん気楽になって、通りに牛がいること、時にはその汚さに慣れてきたように思います。いくつかの点においてインドがいかに貧しいかということをしっかり見ました。例えば、インドではどこでも誰でも物乞いをしている人を見かけることができるのです。しかし、人、食べ物、歴史などにおけるインドの豊かさも目にしました。
実は日本に帰って来たとき、もう一度カルチャーショックを経験したのです。長い間日本を離れていたので戻ってくると、あらゆるものが私にはまた新鮮に映ったのです。文化も特色も全く対照的な国から戻って来たので、ペースの速い近代的な環境を再認識しました。また、日本の良い面をさらに正しく理解できるようになったのですが、同時にインドでのいろいろなことが恋しいような気がしました。ある文化は別の文化より優れているのではなく独自の魅力があるということを実感しています。こういう経験は本当にすばらしいものではありませんか。
市場の店員さん(Manaliにて) |