中井正明
(64期・なにわことばのつどい代表世話人)
【一見】(1)初対面。もと、遊里で、その遊女に初めてあうこと。
『浪花方言』(文政)に
以上の記載があり元来は花柳界・色街の専門用語であったが
一と昔前の料飲業界ではそれなりにプライドがオマシテ、
昨今は宅建業者のキャツチフレ−ズ(宣伝文)で
初会(“馴染み”の対語)。
(2)一見客の略
…とある。
また『大阪ことば事典』によると
【一見・一現】花街用語 …(中略)… は当て字である。
「いちげん、一見なり。遊里の言葉、町にてもいふ」
と見える。(以下省略)
現在は広く一般の商売に使用され、特に料理飲食の業界で
繁用されてる言葉でヤス。
「一見さんお断り」の札を掲げた店も見受けたケド、
バブル崩壊後はもうそんなご立派な処は見当たりまへんなぁ。
ついこの間、「会員制」のお店覗いたら、
何と貼ったアルだけだしたワ。
この文字を見掛けた位だして、
これこそ、捨てる神あれば拾う神ありの諺を
地で行く様な話やおまへんか。