【連載】なにわことば三昧(25)

    しきしあてる

    中井正明
    (64期・なにわことばのつどい代表世話人)


      色紙当てる…貧者の社会にこんな情緒豊かな大阪弁がゴザッタヨ。
      衣類の継切(つぎきれ)を色紙と見立て、継ぎ当てする事を指した。
      戦中戦後(昭和20年前後)物資欠乏の時代を思い出すネ。

      僕のお下(さが)りの半ズボンを弟が穿(は)いたンもその頃。
      お尻に当てた布が別物(ベツモン)ダシテ
      「キャッチミット」の綽名(あだな)が付いた。
      彼が登校拒否症に陥ったンが筆者の知るその第1号ダシタナ。

      当時は衣服は勿論のコト、短靴・編上靴・軍靴に至る迄、
      「継ぎ」の当った品々が使用されていたヨ。
      物が豊かで、ホンデ心は貧しい時代の今から振り返ると、
      隔世の感が深うオマス。


    Last Update: May 23,2002