壇さんのトークリレー 片山義康(69期)
「激動するエネルギーと地球環境問題の最近の動き、ポスト福島のエネルギー情勢」
について。
本年3月11日の未曾有の東北大震災、大津波、さらに東電福島の大原発事故、
このことから日本のエネルギーの今後はどうなるかは国民の大きな関心事であり
心配事でもあります。そこで、大阪ガスで日本の大きなエネルギー転換であった~
石炭から天然ガスへ~を当初から担当され、その後も天然ガスからの発電や、
燃料電池による発電などに大きく関わってこられ、またAPECの環境技術交流
促進事業運営評議会評議員座長として環境問題にも深く関わってこられた壇
須寿雄さんのトークリレーの講演は以下のようでした。
エネルギー問題はその安定供給と、経済成長、環境保全との三重苦である。
先ずは、世界のエネルギー資源の現状から、更にこれから先2100年までの
需要推移予測について、石炭、石油、天然ガス、原子力、水力、再生可能
エネルギーについて説明され、中でも、日本におけるオイルショック以降の
エネルギーの供給構造の推移と、現在、その自給率が4%であり、今後は
原子力の軽減を図ることからも、一段と省エネが必要になる。
また、エネルギーの表と裏の関係とも云われる地球温暖化の問題について、
CO2がどのようにして温暖化を引き起こすか、また、それを抑制する動きと
その動向で平成7年の京都議定書以降、各国の足並みを揃えるのがいかに
難しいかなど、実際に各国から受けた感触からの説明があった。
一方、CO2を出さないといわれる原子力発電の日本における現状の説明と
これからの動向については、ポスト福島において、尚いっそうの安全性が
求められ、電力供給における割合を削減せざるをえないが、同時にこれからの
われわれの社会生活の構造も抜本的に変えなければならないと思われる。
地球的な問題であるCO2削減のシナリオは、再生可能エネルギー、CO2
地下貯留などあるが、やはり世界的には原子力は欠かすことはできない。
中でも、中国、インドなどは急成長の結果としてエネルギー不足となり、
多くの原発増設計画があるが、それには日本の福島事故の徹底した究明の
結果である安全性について援助する必要があると思われる。と同時に、
特に中国の沿岸部に建設される原発の日本へのリスクも考えねばならない。
日本はこれからこの再生可能エネルギーを強く推し進めなくてはいけないが、
中でも、太陽光発電が最も有望で、この効率の向上が求められる。また、
この太陽光、風力、地熱、中小水力などを結びつけるネットワークが必要で、
日本はこの技術開発は充分可能である。
従来の化石燃料分野でも、シェールガスの採取などの技術が開発され、
新しい天然ガスの資源と成ってゆく。しかしながら、最後に我々がやらなければ
ならない事は、省エネであり、個人個人では住宅の断熱や照明、企業では次世代
の自動車、火力発電などの更なる効率化などの努力、また再生可能エネルギーの
使用においてはある程度のコストアップも受忍しなければならない・・・などと
話された。
<同窓会事務局>
Last Update : 2011年12月19日